藤島崇之監督インタビュー(選手権激闘編)
「昌平の強さを探る」(第一回)
ここ数年で全国でも強豪校の仲間入りを果たした昌平高校の強さを探る。第一回となる今回は藤島崇之監督に全国8強入りを果たした昨年度の選手権での戦いを振り返ってもらった。※このインタビューは活動自粛前に行われたものです。
―改めて全国8強入りした選手権を振り返っていただけますでしょうか。藤島
:選手権に関しては予選が終わってからプリンスリーグの参入戦があって、結果としてプリンスリーグ参入戦が昌平高校にとってはプラスに働きました。選手権1週間前という大会の開催時期でしたが、あの時期にしっかりとコアなゲームができた。あとは我々も選手権の勝ち上がりのイメージをしていく中で、わりとJクラブに近いというか、ビルドアップをするチームとの対戦が想定されるような状況だったので、そういった部分では、プリンスリーグ参入戦に向けたトレーニングレベルの充実化を図っていく状況が、選手権にも繋がると考えていました。
ここ数年S1リーグで優勝しながら足踏みをしてしまっていた中で、2年前は選手権に出るのを決めながら、プリンス参入戦で矢板中央に負けたゲームでは、実際あの時に、たまたま怪我人が多かった。選手権も佐相(壱明/J3長野)や山下(勇希/東洋大)が怪我を抱えながらで、結局全国も山下を途中からという形にしていた状況もありました。
いろいろな結果を振り返ると今回に関してはそういったレギュレーションも含めて、トレーニングレベルも特別、相手にそれだけの戦術を打ち破るとか、逆にそこのケアをするっていうトレーニングをガンガンやっているわけではありませんでした。選手も逆に言えば(プリンス、選手権と)明確な目標設定しながらということが、次に繋がる状況になったかなと思います。そういう意味ではその1ヶ月間、事前準備として選手権予選が終わってからの強化がプリンスリーグと選手権にしっかりとリンクした中でできたというのがよかったのかなと思います。
―初戦は興国との対戦でした。
藤島:(選手権初戦の)興國とのゲームはもちろん技術的に高い選手が揃っているという状況で注目される選手も多くいたと思いますし、個での打開力というところに関して言うと、顕著に目立つ選手もいたと思うので、そこをどうやって我々がしっかりとケアできるか。そういったところで、トレーニングの部分でわりと個の部分で1対1とか2対2とか、そういう部分でちょっとトレーニングレベルの充実化を図ってやりましたが、冷静にしっかりと見極めていく中では我々がボールを持てるだろうという話をしていました。
興國は戦術的な部分もシステマティックにやってくる状況だったので、その部分のイメージの共有と、(プリンス参入戦の)ジェフ戦とかもわりとリンクして同じような状況だったので、そういう部分で言うと興國戦はプリンス参入戦でやったことを、ある程度しっかりとフォーカスしてできたというのがよかったのかなと思います。あとはその中でしっかりとチームとしての良さも発揮できているところもありましたし、チームの良さの発揮の部分だけではなく、相手を見てちゃんとしっかりとケアもできていました。まだまだ足りないところもありましたけども、2回戦に関しては良さが出たかなと思いました。
―3回戦は國學院久我山戦でした。
藤島:國學院久我山戦はゴールを奪うシチュエーションを数多く出せるかというところもありました。その中でチャンスだったり、ボールを持つ力というのはしっかりと出せましたが、なかなか最後の結果という部分で見なければいけない点は、なかなか取りきれずというところはありました。村松(明人コーチ)から「一発がある」というところで「篠田でいこう」と、それがまさしく一発というところで、気持ち的な部分も充実していましたし、トレーニングレベルでも点を取る力振り抜く力という部分は顕著に見ることができていたので、そこは本人も自信を持ってできた結果がチームの勝利に繋がったのかと思います。
―準々決勝は青森山田戦でした。
藤島:青森山田戦はスコアという部分でいうと2−3。蓋を開けると前半0−3という状況だったので、なかなか難しいゲーム展開になってしまいました。試合前にスタッフと話をする中で、僕がゆっくり人をためてサッカーをやって切り替えてボールを奪い、押し込んだ状況で行きたいと話をしました。カウンターも、もちろん怖いという状況もあったので、逆に言えば選手にちょっとそこを強調しすぎちゃったかなというのが僕自身の課題で、チームをうまくいかせられなかった要因かなと思っています。もっと攻めに、もっと仕掛けに行っていたら、もっと山田のディフェンスラインの部分を完全に崩すことはできずとも、崩しの部分での強さというのは見せられたかなという部分はあります。(後半は)逆に言えば取りに行かなければいけない状況で行ったら崩れる状況というか、相手のプラスの面だけではなくて、マイナスの要素も出てきたという状況はあったので、そこは間違いなく僕自身の伝え方の問題だったなというのは思っています。
山田の質の高さは何かと言ったら、カウンターの部分とか、一発で点を取るところでの取り切る力。そこの部分に関して言えば全国でもトップレベルの力があって、そこに対しての対応はすべてをという状況にはしきれなかったかなとは思っています。ただ選手も一生懸命やる中で、そこの部分でやれるところまでは、できたのかなと思いますので、そういった部分はもちろん今後に繋げていかなければいけない状況になったかなと思います。
―今回プリンスから続けて、全国トップレベルの技巧を持ったチームとの連戦の中で昌平の持ち味も十分に発揮された
藤島:チームのベースという部分に関して言えば、やっぱりそういうところをフォーカスしながらやっている部分もあります。そういった部分ではそれが発揮できる状況での勝負に関して言ったら、うちのゲーム展開になるシチュエーションが多かったかなと思います。そこは自信を持ってやれるところではいいのかなと思います、…けどっていうところですね(苦笑)。
逆に言えばサッカーはそれだけじゃないですし、逆にボールを持たせることによって相手の攻撃の状況を作って守備の粗を探すというのも、理想としたら出てくる可能性もあります。選手権前もやっぱりチームの良さは結局ディフェンス的な部分が良くなってきた中でという部分はあったので、そういったところに関して言うと、もちろんボールを持てる力というのは自信を持って今後もやっていきたいと思っていますけど、またさらにどこを磨きをかけるかというのが次への課題かなと思います。
石黒登(取材・文)