1FC出身の市船MF森英希が千葉県予選決勝で2ゴール! 積極性を身につけ強豪で欠かせない1枚に
これまでは「シュートまで行っても決められないとか、行けない部分も多くあった」という。そんな中、決勝で2ゴールと大暴れし、市立船橋を3年ぶりの選手権に導いたMF森英希は「今年は絶対に選手権に出るとチームで意気込んでいて、自分としても必ず点を取って勝たせてやるという気持ちがあった。しっかり結果を残せて、勝利に貢献できて良かった」と喜んだ。
先制点はその「点を取ってやるんだ」という気持ちが前面に出たゴール。FW鈴木唯人から入ったクロスが転がると競り合いの中で一度はバランスを崩したが、すぐに体勢を立て直しドリブルでひとつ運び出して右足でゴール左隅に流し込んだ。「緊張していた中であの時間帯に点を取れたっていうのは試合を優位に進めるためにも良いゴールになったのかなと思います」。
2点目は同点とされた直後、フリーキックにタイミングよく走り込んで今度は頭で揺らした。身長は両軍で最も小さい161cm。ヘディングはあまり得意ではない。「ほとんどヘディングはしないです。(ヘディングでのゴールは)高校に入ってから公式戦では初」と明かし、「運が良かったですね」と言って笑ったが、オフサイドポジションから戻りながら一瞬のスピードで中に入っていく駆け引きの妙でディフェンスとの体格差をないものにしたのは見事だった。
今大会は準決勝の専大松戸戦でも1ゴール。FW松谷昂輝と並ぶ3得点でチームトップスコアラーと堂々の仕事ぶり。波多秀吾監督も「ここのところコンディションが良くて、すごく良いプレーを発揮していた。それが結果になったんじゃないかと思います」と、殊勲を称えていた。
入間市出身で中学年代は1FC川越水上公園でプレー。「中3の時にたまたま市船の試合を見てすごく良いなと思った」というドリブラーはその後招待試合で目に留まり、市立船橋でのプレーを決意する。強豪校への挑戦には「不安はあまりなくて、自信の方が大きかったですね」。
昨年までは「消極的になってしまっていた」のもあり、なかなか能力を出すことができなかったが、「3年になって積極的にプレーできるようになったのが試合に出られている一番大きな要因かなと思います」。1月に新チームとなってからはコンスタントにプレー。1年時はスタンド、2年時はベンチ外だった中で自身初の選手権でも積極的なプレーがゴールに繋がった。
「全国制覇を狙っていきたい。個人としては得点を狙いながらもチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います」と森。まだ「自分のところで失う場面が多くあった。ボールを持った時に自分で行くか、味方を使うかというところで良い判断ができるように改善していきたい」と残り1ヶ月で修正していかなければいけないことはあるが、そこが良くなれば武器であるドリブルもさらに生きてきそうだ。全国の舞台でも積極的に仕掛けてチームを勝利に導く。
石黒登(取材・文)