[女子選手権]昌平FW松井美優「警戒されてもプレーできる」。仙台内定の絶対的ストライカーが全国初ゴール!

森田光哉監督も「まぁ松井でしょう。警戒されてもプレーできるのが彼女の良さ」と語る、絶対的ストライカー。昌平のU-19日本女子代表候補FW松井美優(3年)が京都精華(京都)との全国大会初戦で値千金の先制ゴール。昨年の悔しさを胸に、チームを全国初勝利へと押し上げた。
「去年は1回戦敗退ですごく悔しかった。今年は絶対に突破したいと思っていたので、本当に勝てて嬉しい」。昨年はチャンスにつけながらノーゴール。クロスから触ればという場面もあった中で「そこの一歩が足りなくて悔しい想いをした」。その経験が背番号9の背中を押してきた。
先制点はその“一歩”を手繰り寄せた形となった。序盤から攻めると5分、縦パスに守備陣の間を割るようにして侵入。右から寄せるDFよりも一歩先に足を伸ばしてボールを奪い切ると、持ち味のスピードで一気に背後へ抜け出し、右足で流し込んで昌平の全国初ゴールをゲットした。
「スピードで勝てたのも良かったですし、後ろからパスを出してくれた(鈴木)志摩子もナイスボールで、自分の長所を生かしてくれるようなパスを出してくれたので、あとは決めるだけでした」。ワンタッチでスピードを殺さずにコントロールパスを通した10番への感謝も忘れない。
ゴール後には迷わずスタンドへ。そこには受験で夏前に早期引退した仲間たちの姿があった。「チームには帯同はしてなかったんですけど、個人的に応援に来てくれていて、メッセージとかもたくさん…、お守りもくれたり、すごい応援してもらっていたので、ゴールを決めたら絶対にその仲間のところに行こうと決めていました」と仲間たちに駆け寄り、ハイタッチを交わした。
県決勝の花咲徳栄戦でチームを全国に導くゴールを決めて以降、約2か月間、得点からは遠ざかっていた。得点に繋げられるようなプレーはしているのに、ゴールだけがない状況。「自信っていうか、自分で決められるのかな、みたいな不安というか、そういうのもあった」と話す。それでもそれを払拭する大会初弾に「こんなに早く点を決められて一安心しましたし、1回戦目のすぐで吹っ切れたので、次も点を決められるように頑張りたい」とゴール量産の匂いも漂わせる。
今年は世代最高峰の関東1部リーグで揉まれる中でも大きく成長。「サイドの抉りとか突破は自信を持っているところですし、そこでは去年より1人、2人交わせていけるようになったかなと思います」と胸を張るように、65分に交代するまで鋭いドリブルで度々チャンスを作り出した。
今年8月にはWEリーグ・マイナビ仙台レディース加入が内定。常に厳しいマークがつきまとう立場となったが、「プレッシャーを感じないで、いつも通りプレーして、目の前に相手に負けないことを意識して、一戦一戦勝っていきたいと思います」と構えすぎず、自然体で臨む構えだ。
「絶対に次も勝って、みんなと一緒に年越ししたいですし、やっぱり本当にこのチームのメンバーが大好きなので、1つでも長くみんなとサッカーしたいから、本当に優勝まで登っていきたいです」。大好きな仲間と最高の冬を過ごすために、エースストライカーが次も結果で勝たせる。
石黒登(取材・文)


