[選手権]武南FW藤森隼叶、トップ初先発で2発の“一発回答”。塚田離脱の前線でS2出身ストライカーが価値を証明

トップチームでの公式戦初スタメンで価値を示した。「絶対に点を取ろうと思っていました」という武南FW藤森隼叶(3年)は3回戦の国際学院戦で2ゴールを挙げ、勝利に大きく貢献した。

今季、藤森はセカンドチームのS2リーグで継続的にプレーし、7得点。予選前の市立浦和戦、立教新座戦で連続ゴールを決め、調子を上げている感覚もあった。その中で選手権のメンバー入り。「自分にとっても最後の大会。絶対活躍したいと思っていた」というFWが起用に応えた。

0-0の前半27分、DF田村大地(3年)の縦パスに抜け出すと、キーパーの位置を見ながらしっかり流し込んで先制点。トップチームでの初得点に「めっちゃ嬉しかったです」と振り返る。

1-1に追いつかれた直後の後半31分には「良いクロスが入ってきたので。(裏抜けに加えて)クロスも狙っていて、しっかりシュートまで決めきることができて良かったです」とMF鞭馬小太朗(2年)の左クロスに対し、ニアスポットに走り込み、右足で“点”で合わせて勝ち越しゴールを決めた。嫌な流れを断ち切る1点はそのまま決勝ゴールとなり、チームを勝利に導いた。

チームは前線の第一候補としてプレーしてきたFW塚田恵斗(2年)が、この夏に前十字靭帯損傷という大怪我を負い、チームを離脱。攻撃の軸を失ったチームは、急遽“代役探し”を迫られた。

塚田不在後は、岩澤柾吾(2年)が前線で起用されることが多く、189cmの長身FW千葉龍ノ介や安藤大翔(ともに3年)、また関口海龍(3年)の0トップという布陣もプランとして検討されていた。初戦は岩澤が起用された中で、回ってきたチャンスに見事に“一発回答”。内野慎一郎監督も「次濃厚なんじゃないですかね」と準々決勝での継続的な起用の可能性も示唆していた。

内野監督は「蹴ってきたものに対して、ピタッと収まる。1個前で持った時に、今日なんかはちょっと最後の方が保守的になっちゃって、近いところでかっさらわれるシーンが出てきたんですけど、でもあれを1個飛ばして藤森でピタッと収まったら、有川が前でもらえたら、今度は鞭馬も出てくる、関口海龍も出ていけるしって、みんな出て行けるような状況になる」と期待する。

藤森も「ボールを収めるのがめっちゃ得意」と話すようにポストプレーはひとつストロングポイント。2列目には10番MF有川達琉(3年)や有力選手も多いだけにここがハマれば面白い。

「収めるのもそうだし、得点取っていて。そこはめっちゃ憧れます」と日本代表FW上田綺世のような収めて良し、そしてゴールを奪える選手を目指す藤森は、準々決勝の西武台戦に向けて「自分が点を入れて、チームを勝たせて、次のステージに連れていきたいと思います」とこの日のゴールを自信に変えて、トップチーム2試合連続ゴールで再び勝利をもたらす。

石黒登(取材・文)