[選手権]埼玉栄FW伊藤潤、横浜FM内定の先輩MFの背中を追い「実現させたい」。大学経由のプロを目指す10番が決勝ゴール
J内定の先輩MFを追いかけプロへ。狭山ヶ丘とのS2対決に臨んだ埼玉栄はスコアレスで迎えた後半23分、MF片桐盛(3年)の高速クロスをMF伊藤潤(3年)が右足ダイレクトで合わせ決勝点。滝井友和監督も「あいつがストライカーなので」と話す10番エースが勝負を決めた。
クロスは練習中から要求しており、試合前にも「クロスちょうだい」と仲間に話していたという。「結構前々から伝えているのは、ディフェンスとキーパーの間に欲しいって言っていて、ニアに入るっていうより、間に入るっていう感覚」。タイミング良く入り込むと、「盛が良いボールを上げられるとわかってるので、そこを信じて足を伸ばしました」と右足で触れて決勝ゴールを奪った。
もともと中盤の選手で「ボールを収めるところと、攻撃の起点になるところ。あとは持ってから仕掛けたり、パスを散らしてチャンスメイクから自分がゴールを取りたいです」。この試合でも前線の軸としてアタックを牽引していたが、一方で「自分としてはもっと受けたくて」と話す。
「もっと受けて、自分から攻撃を始めたくて。自分で前を向けるところは向いて、自分でゴールまで行きたい」。また、「前半もシュートはあったけど、決まらなかった。後半も1点じゃなくて、2点、3点って狙えるチャンスもあったので、そういうところを決めたらもっとチームが楽になるかなと思います」。得点後にも決定機もあっただけに、追加点を取れなかったことを悔やんだ。
埼玉栄は先日、OBのMF樋口有斗(現・中部大3年)が2026シーズン横浜F・マリノス加入内定。「やっぱり先輩OBの樋口有斗さんがプロに決まって、その背中を追っかけたいと思うので、プロを目指しながら頑張りたい」。樋口は中体連(埼玉栄中)、埼玉栄高経由で大学でブレイクしプロ入り。伊藤もその背中を追いながら「実現させたいです」と4年後のプロ入りを狙う。
そのためにも「もっと運動量が欲しいですし、やっぱり足元だけじゃなくて、スペースへの動きとか、常にオフ・ザ・ボールの動きができたら」と大学での4年間でさらに成長していく構えだ。
狭山ヶ丘に続き、2回戦はS1の武蔵越生とのカード。以降もS1、プレミアとの対戦の可能性がある激戦ブロックだ。それでも「結局16、8に行けば当たるので。いつも最初はどこかに油断があったりすると思うんですけど、今回は初戦から気持ちを入れてって感じで、チームとしてはプラスに捉えていて、初戦から絶対にやってやるぞっていう気持ちでやれている」と明かす。
「次は1個上のリーグとやるんですけど、自分たちのサッカーをやるってところと、あとは怖がらないで、自分が点を取るってところで、受けたら仕掛けるし、シュートも狙いにいく。自分のゴールで勝ちたいです」。注目カードで勝利に導いたエースが次も「自分のゴール」で勝利に導く。
石黒登(取材・文)