[選手権]前十時靱帯の長期離脱から主将が復帰。伊奈学園MF宮武佑希「この選手権に懸ける想いはどのチームよりも強い」
「この選手権に懸ける想いっていうのは、やっぱりどのチームよりも強い気持ちがある」。伊奈学園のキャプテン、MF宮武佑希(3年)は並々ならぬ想いを持って最後の選手権に臨んでいる。
宮武は中学時代、南浦和中で全国中学校サッカー大会(全中)にも出場した実力派プレーヤー。伊奈学園でも下級生からプレーし、今年度はキャプテンを務め、最後の1年に臨むはずだった。
しかし、新チームとしてここからという昨年11月に右足前十時靱帯を損傷。新人戦、インターハイと2大会を欠場した。主将がいない期間、チームはなかなか結果を出すことができず、ピッチ外から見守っていた宮武も「キャプテンとして出られなかった責任を感じていた」と振り返る。
それでも最後の選手権予選を前にした8月中旬に約9ヶ月ぶりに復帰。「新人戦とインターハイで結果を残せなかった分、この選手権に懸ける想いはどのチームよりも強い気持ちがあった」。東野戦では緊張感もあり、思ったようなプレーができなかったという中でも「やっぱり気持ちで、自分の姿で士気を上げたいなと思った」と中盤から持ち上がりチャンスを作るシーンもあった。
また、出られない期間にもチームを支えた。「自分たちの代は受験とかがあって辞めてしまう人が結構多くて。そんな中でも自分たちの代で結果を残したいっていう想いがあったからこそ、1つ1つの練習からしっかりと意味のある練習をするために、怪我で練習に参加できないので言葉の重みっていうのはあんまりなかったかもしれないですけど、でもやっぱりずっと声をかけ続けて、毎日毎日成長できるような練習ができたと思ってます」と声でチームを鼓舞し続けた。
今年は2年生が多い中でMF増田直(3年)は「結構下級生に呑み込まれちゃう代だったんですけど、キャプテンが「俺らのチームなんだ」っていうふうに、チームを変えてくれた」と話す。
「ここで満足せず、次の星野に勝たなければ代表にはなれない。いい準備をして挑みたい」「代表決定戦はチームを勝たせられるようなプレーをたくさんして、絶対に県大会に出たい」と宮武。強い想いを持って復帰した主将が、伊奈学園のラストピースとしてチームを力強く牽引する。
石黒登(取材・文)