[総体]昌平DF伊藤隆寛、頼れる主将が悪い流れを立ちきる先制弾!「絶対負けたくない」攻守の空中戦でも圧倒し完封
「やっぱりあの時間帯はどっちも点が欲しい時間だったので」。チームの背骨を担うキャプテンの一撃が均衡を破った。昌平186cm長身CB伊藤隆寛(3年)主将は、0-0の前半27分に得たこの試合最初のコーナーキックでゴール前へ力強く入り、先制点をヘディングで叩き込んだ。
「(高橋)心晴が競ってくれて、落ちてくると思ったので突っ込みました」。10番MF山口豪太(3年)の山なりの右CKが越えたところを中に入り、ボールに飛び込む形でヘディングでゲット。チームとしてもファーストシュートとなる場面で、頼れる主将が重たい試合の空気を変えた。
5-4-1でブロックを敷いてきた相手に対し、昌平はパスを繋ぎながら攻略を目指す中で、なかなか堅陣を崩し切れずゴール前まで侵入していけない展開に「じれったい試合だった」と語るが、そんな中で「セットプレーで決めてやろう」と強く意識し、わずかなチャンスをモノにした。
「うまい昌平だけじゃなくて、今年は『強い昌平』っていうのも目指している」という伊藤は、この日攻守の空中戦で抜群の存在感。得点に加え、前半終了前にもコーナーキックを頭1つ2つ抜ける打点の高いヘディングでリターンすると、守備のヘディングでも相手を圧倒。「ヘディングは小さい頃から好きですし、自分のストロングポイント。昌平は比較的全員身長が小さいので、全部自分が跳ね返すぐらいの気持ちでやっていて、そこでは絶対負けたくないです」と話す。
また、相手9番のポストプレーに対しては、ボランチや高橋と受け渡しの声かけを徹底して守ることを意識。その上で「FW1枚だったので、心晴か自分は絶対前に出て行こうって意識していて、結構抑えられた」と胸を張る。「自分は足が速くない分、予測と周囲を動かすことを意識している」と話すCBは、相手のカウンターやラストパスを止めきったり、終盤には相手の決定機でしっかりとゴールカバーに入り、スーパークリアを見せるなど無失点勝利に大きく貢献した。
初戦となった2回戦は、4-0の終盤に失点。「勝ってても、失点は全部自分のせいだと思うぐらいの感じでやっている。あの失点でもう1度気が引き締まったというか、今日は絶対無失点でいこうとなりました」。キャプテンとして、背負う責任の重みもまた、プレーへと変換していく。
タレント集団をまとめる伊藤は「歴代のキャプテンにはスーパーな選手も多い。でも自分は自分」と気負いすぎず、強い芯を持ってピッチに立つ。目指す場所まであと3勝。「まずは次に向けて、また全員で良い準備をしたい」。頼れる主将は、ひとつずつ、着実に頂点への階段を登っていく。
石黒登(取材・文)