[総体]浦和学院FW小川澄羽、11番の系譜継ぐドリブラーが先制点を含む2点に絡む活躍。突破でも魅せる
川上耕平監督も「今日は小川ですね」と言えば、当の本人も「僕で間違いないと思います」といたずらな笑みを浮かべながら自信の回答。浦和学院の期待のドリブラー、小川澄羽(2年)が3回戦の西武文理戦で先制点を含む2得点に関わる活躍を見せ、ベスト8進出の原動力となった。
前半7分、MF西田琉晟(2年)がボールを持つと、斜め方向に裏抜け。「あれは今週練習していて。縦の裏抜けじゃなくて、斜めに裏抜けする練習をしていて。西田くんが良いパスをくれたのであとは決めるだけでした」。パスを出した西田はジェファFCからの盟友で「出すところがなんか感じるっていうか、わかるんです」とあうんの呼吸で抜け出し、左足で先制点を奪った。
また、「右サイドでの突破の部分を意識していたので、相手との駆け引きでしっかり突破して、いろいろ抜けたので良かったと思います」という持ち味の突破から後半には追加点を演出する。
「もともと僕、左サイドの選手だったんですけど、そこから右サイドになって。最初は抜けなかったんですけど、自主練とかで1対1を練習して、抜き方っていうのを覚えて、練習通りにできたかなと思います」と小川。11分、右サイドで仕掛けると、深くまで抉って中へグラウンダーのクロス。アシストはつかなかったが、先制点のお返しとばかりに西田のゴールをお膳立てした。
今季は新人戦で1ゴールを決めたものの、S1リーグ戦、関東予選では不発。「自分の中でも課題は点を決めることだと思っていたんですけど、インターハイで点を決められたので、これからもどんどん決めていきたいと思います」というように、この試合を契機にゴールを量産する構えだ。
ジェファでは西田とともに日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で全国の舞台を経験し、初戦で敗れたものの1得点。一方で「ジェファでは僕は絶対的な選手ではなくて。FWに当てたり、FWを使うっていうので、あんまりドリブルをするプレーヤーではなかったんです」と話す。
そんな中で浦和学院に入学し「自分が勝たせたい」という想いが強くなったという小川は、そこから積極的に仕掛けるように。成功体験は明らかな自信を呼ぶ。「自分に自信が持てて、そこからドリブルっていうのを武器にしっかりできて、自信を持ってドリブルできている」という。
「自分は周りを意識したり、フェイクを入れて相手のバランスを崩したりして逆を突くことを意識しています」。今大会は「調子が良い」と話すドリブラーは、この試合も相手の逆を取りながら抜き去るシーンも。また、裏抜けのスピードにも絶対的な自信を持っているという。主将のMF平昭一哉(3年)も「小川はお調子者です」と笑いつつ、「小川に出せばなんとかゴールまで持って行ってくれるっていうのはある。困ったら小川に出しています」と信頼を語っていた。
昨年は同じく11番を背負ったドリブラーのMF佐藤大心が攻撃でチームをリードし、選手権予選では初となる決勝進出に貢献。「ずっと見ていたので、大心の跡を継げるように」と強い想いも口にする。「2年生ですけど、3年生に負けずに中心的な選手になっていって、埼玉を制覇したいと思います」。準々決勝で西武台に敗れ、今夏の埼玉制覇とはならなかったが、リーグ戦などで磨かれながら成長し、この冬さらに大きくなった姿で再びタイトル奪取にチャレンジする。
石黒登(取材・文)