[総体女子]昌平FW松井美優、関東1部開幕戦で失敗…「リベンジしようと思って」。大好きな祖母の前で初の総体タイトルもたらす決勝PK弾!
あの日決められなかった1本を決めて、チームに初の総体タイトルをもたらした。昌平FW松井美優(3年)は後半20分、ペナルティキックをゴール左に突き刺し、決勝ゴールを奪った。
前半、昌平は相手の守備に苦戦。「何回もチャンスがあったんですけど、クロスがたくさん入ってきてもその手前で引っかかっちゃったり、なかなかゴールも入らなくて焦る部分もあった」。松井も30分に左クロスをヘディングで狙ったが、キーパーに捕球されゴールとはならなかった。
得点を奪えない時間が続いたが、その中でも「スピードは絶対に負けないと思っているし、絶対負けちゃいけないと思ったので、そこは自信を持ってやっていました」という松井は推進力のあるドリブルで攻撃を牽引。複数枚に付かれてもその間を強引に割っていくような突破も見せた。
後半も昌平の1トップとしてアタックの中心となり、相手ゴールに勢いを持って迫っていった。その中で後半20分、昌平はMF勝山あゆみ(3年)がエリア内でファールをもらいペナルティキックを獲得。スポットに立ったのはエースストライカーの松井だ。PKにはある想いがあった。
昌平は今季、世代最高峰の関東1部リーグに昇格した中、大会前に迎えた日テレ・東京ヴェルディメニーナとの開幕戦で松井は0-1の場面で自らドリブルで侵入しペナルティキックを獲得。決めれば同点というシーンだったが、これを決めきることができず。その後、0-3で敗れた。
女王メニーナに対し、ドリブル侵入やシュートなど通用した部分も。一方で、相手のうまさやボールを回されるなど、世代トップのチームの強さも感じたが、「でもやっぱりPKを決めていれば勝てたと思います」。「本当にここはリベンジしようと思って」。その場面が決勝で巡ってきた。
「最初、右に蹴ろうとしていたんですけど、なんか取られそうだなと思って。キーパーも若干右に寄っているなと思って」と直前に蹴る方向を修正し、キーパーが飛んだ逆方向のゴール左側に思い切り突き刺してゲット。そしてこれが昌平初の総体タイトルを決める決勝ゴールとなった。
1年次から主力を張る松井にとっても念願のタイトル。「自分が1年の頃は怪我をしていて、この決勝で負けて、去年はあっけなく終わってしまって。最後にまだこのタイトルを取っていなかったので、やっぱり全冠を狙っているので、とりあえず一個取れて良かったです」と喜びを語る。
また、この日は祖母と父が現地観戦。「お婆ちゃんっ子」と話す松井は「前回お婆ちゃんが来てくれた時に、新人戦の決勝だったんですけど、取れなくて。今回は絶対に取って、見せてあげようと思っていたので、お婆ちゃんのためにも点を取れて良かったです」と言って笑顔を見せた。
1年次の新人戦決勝では2ゴール、1アシストを決めて、昌平に初の県タイトルをもたらしたスーパールーキーも気づけば3年に。昨年は強豪揃いの関東2部でもゴールを積み上げ、初の選手権出場にも貢献した。昌平初の高卒WEリーグ入りも期待したい逸材FWは「みんなが良いクロスを上げてくれるので、そのクロスに合わせられるようにもっと強烈なFWになりたいですし、自分でも敵がいてもそこを突破してゴールまで繋げられるようなFWになりたい」と話す。
関東大会1回戦は強豪・鹿島学園に決定。「何回も練習試合をしているんですけど、自信はある。どんどん自分で仕掛けて、収めて、本当に完璧なプレーをやって、勝利に繋げたいなって。自分が点を取って勝ちたいなと思います」とし「目標は高くハットトリック」と意気込みを語った。
「もう卒業なので、やっぱりもっと成長して、強烈な個で勝負できるように頑張りたいです」。個人目標はもちろん、チームとしてさらに上のステージに行くためにもっと強烈なFWになる。
石黒登(取材・文)