[S1]正智深谷MF岸田琉来、競り合い&セカンド奪取で“深谷ダービー”勝利に貢献。2年生MFは8年ぶり全国導いた昨年主将のような存在を目指す

8年ぶり選手権に導いた昨季主将を越えるような存在に――。開幕戦は西武台Ⅱに引き分けた正智深谷は成徳深谷との“深谷ダービー”を2-1で勝利し、今季初勝利。耐える時間も長かった中でMF岸田琉来(2年)がボランチで、CBで、武器の跳ね返す力でダービー勝利に貢献した。

「深谷同士なので、負けられないなっていう気持ちを持って、自分、センターバックからいまはボランチなんですけど、そこでも負けられないなみたいな、絶対に勝つっていう気持ちで臨みました」

「空中戦が多いっていうのはずっと予想していたので、自分のところに来たら競り負けないっていうことを意識してやりました」。今年ボランチを務める岸田は武器の身体の強さや競り合いで成徳深谷の力強い攻撃に対抗。「セカンドとか、競り合いはいつもより多く拾えた」と話す。

後半6分には相手FWにエリア内に抜け出されてピンチになるかと思われたが、岸田が素早くカバーリングに入り、スライディングで阻止。決定的な場面だっただけにビッグプレーとなった。

その後、チームは同点ゴールを許した中で、中盤以降は昨年まで主戦場としていたCBに下がってプレーし、ここでも競り負けないことや裏に蹴られたボールに対しても良い対応をすることを意識して堅守に貢献。最少失点で耐え続けたことが、最終盤での劇的決勝ゴールに繋がった。

「楽しむこと」「思い切ってやること」を意識したという昨年は、1年生ながら途中出場という形で選手権全国の舞台を経験。172cmとCBとしては決して大きくはないが、恵まれたフィジカルを生かした競り合いや長身FWにも負けない跳躍力、ロングスローでも存在感を発揮した。

今年は大学など上のステージでのことを考えて、さまざまなポジションでチャレンジ。新人戦ではFWにも挑戦した中で、現在は金森陽佑監督もボランチで考えているという。「(去年は)競り合いはできていたんですけど、あんまりビルドアップするっていう機会がなくて、今年はビルドアップもできたらいいなと思います」と守備だけではなく、攻撃でも起点となれる選手を目指す。

その上で「自分の中では去年の大和田くんを越せるようなプレーヤーになりたい」と昨年主将として全国に導いたMF大和田悠(流通経済大)の名を挙げる。「戦うところとか、リーダーシップは大和田くんはめっちゃあるので、それを越せるような人になりたい」。まだ2年生ではあるが、昨年を経験したひとりとして責任感を持って、自分が先頭に立つつもりで引っ張る構えだ。

全国での経験は「だいぶでかいです」と話す岸田は「練習からもっと全国のレベルを、自分が声をかけてあげたりして、また全国に戻れるようにやっていきたいです」。プレスの基準や判断基準、パス一個の質など、自分が体感したものを伝えながら成長し、再び全国の舞台に帰還する。

石黒登(取材・文)