昌平は昨年、県内初タイトルを飾った女子新人大会決勝で川口市立を５－０で下し、まずは埼玉１冠。開始３分で２ゴールに関わったＭＦ福島紗羅メヘル（２年）が大量点の呼び水となった。

２分、左CKからDF湯浅仁那（２年）の先制弾を演出すると、１分後には自らネットを揺らす。左サイドでMF小澤真由（１年）からボールを預かると、指揮官からのアドバイスが生きた。

「監督からもシュート性で良いみたいな感じで、クロスを上げてみたらってずっと言われていて。そういう感じでちょっとキーパーを目がけて上げてみました」。ひとつ切り返し、右足で少し巻くようにして蹴られたボールはキーパーの頭上を越し、逆サイドネットに突き刺さった。

その後も「ボールにできるだけ絡んで、自分が収めたりとか、リズムを変えて、テンポ良く回せるように意識していました」という福島はダイレクトプレーや今年意識するドリブルで潜り込むプレー。川口市立の守備陣は２列目から飛び出してくる８番をなかなか捕まえられなかった。

昨年はSBやWBを務めることが多かったが、今大会はCBやボランチ、３回戦のスタートではFWなど、さまざまなポジションにチャレンジ。「難しかったですけど、それぞれのポジションで見え方が違ったりとかして、いろんなポジションをやったことによって、自分がもしそこにいたら出し手はやりやすいのかなとか、考えられたりしたので、良い経験になりました」と話す。

森田光哉監督も「いまはトータルしてやらせている中で、今日はうまくトップ下で結果を出してくれた。昨年の佐藤（李那）と金澤（道）の２トップ下とはまた違う味を福島と勝山（あゆみ）が出してくれると思うので、その辺はチームを停滞させることなく、成長に繋げたい」とした。

初出場の全国選手権は１回戦敗退と悔しい結果となった。福島は「相手はひとりひとりの身体能力とかも高くて、試合の入りからまずなんかもう気合いが違って、自分も引きすぎていた部分があって、ビビっちゃって良いプレーができなかった」と反省。自信を持ってプレーした後半は押し込める展開もあっただけに「常に自分の良さを出す」ことは今年取り組んでいきたいことだ。

今年は世代最高峰の関東女子１部リーグで磨かれる環境もある。「球際の強さとか、判断スピードとか、いろいろできる部分もあるんですけど、やっぱり１発のスピードとか、切り替えの速さとか、そういうところはもっと成長したいなと思います」と個人としてもさらに成長する構えだ。

「選手権ですごい悔しい想いをして、絶対戻ってこなきゃいけないと思ったし、自分はまったく何もできなかった中で関東１部で戦えるのは大きいと思うので、そこでしっかりと成長したい」

また、昨年は総体予選で敗退した悔しさも知っている福島は「県大会で勝つのは難しいっていうのはもう去年１年ですごい感じたので、絶対に県大会でまずは勝って、全国はもう去年みたいに何もできないで終わるっていうのはないように、もっと努力していきたいと思います」と語った。

石黒登（取材・文）