狭山ヶ丘MF髙木玲、98分に劇的同点弾!「絶対に自分が」PK戦は5人目志願し勝利を決める

「絶対に決めてやると思って」。狭山ヶ丘は1点を追う延長後半8分、右クロスをMF髙木玲(2年)が左足ダイレクトで突き刺して値千金の同点弾。窮地に追い込まれていたチームを救った。

前半33分にMF木村徹(2年)のゴールで先制した狭山ヶ丘だったが、後半は戦い方を変えてきた西武文理のプレスに苦しみ、なかなか思うように運べず。後半5分には同点に追いつかれてしまう。さらに1-1のまま突入した延長前半2分にはセットプレーから勝ち越し弾を許した。

チームとしてはだいぶ苦しい状況に追い込まれたが、「監督からポジティブな声をかけろと言われていたので、とにかくチームに良い声かけをすることを意識して、できたんじゃないかなと思います」。下を向きそうな状況でも「チャンスは来るぞ」「絶対に決めるぞ」と声をかけ続けた。

すると終了間際の延長後半8分、左サイドのMF加園拓斗(2年)が得意ドリブル突破で抉り、マイナスクロス。これに走り込んだのが髙木だった。「全然何も考えていなくて。ちょっとボールが浮いていて、浮いちゃうかなと思ったんですけど、うまく被せて決められたので良かったと思います」。難しいボールもしっかりと被せながら打ち抜いて土壇場で追いつくことに成功する。

試合はそのままPK戦に突入した中で髙木は「5人目はもう絶対に自分が決めるって」と5人目のキッカーを志願。相手が先に外したのに対し、狭山ヶ丘は4人目までが全員しっかり決めてバトンを繋ぐと、決めれば勝利という緊張感の中で最後は髙木が蹴り込んで激戦を締めくくった。

得点外でも前半は相手のボランチとディフェンスの間にポジションを取りながら、ボールを収めてからのターンやダイレクトでフリックするなど攻撃にリズム。一方で西澤正仁監督は「もっとですね。ゲームのハンドルを握って欲しい」と話す。本人もその「もっと」の部分は感じていると言い、「(試合を通じて)自分がゲームを作れるような選手になりたい。プレー面もそうなんですけど、もっと声をかけて、自分がチームの柱のような選手になりたいです」と成長を誓う。

「今日勝ったことも嬉しいんですけど、次も勝てるように頑張りたい」と試合後にはすぐに気持ちを切り替え。準決勝に向け「次も絶対に自分が決めて勝ちます」と2戦連続のゴールを誓った。

石黒登(取材・文)