「とにかく成長した１年」だった。GK伊藤慶（１年）は今季、埼玉栄高から大宮アルディージャU18に１年間のレンタル。年末に行われた「Go For WorldCup in さいたま」が大宮U18での最後の大会だった中で、最終日は準決勝の藤枝東戦に出場、堂々とプレーし武者修行を終えた。

「みんなが本当に頑張ってくれて。自分は初日に迷惑をかけちゃったので、その分やっぱりそれこそ今日とかはチームにパワーを与えたりしないといけないなと思いましたし、やっぱり本当にみんなのおかげで自分もここまで１年間成長できたので、それは本当に良かったと思います」

今大会は初日の広島皆実戦で判断ミスから失点し、引き分けに持ち込まれてしまったことを反省。大宮U18での集大成となった藤枝東戦は「自分自身、やっぱり最初の頃と比べてとても成長できたっていう実感があって。やっぱり基礎的な部分もそうですし、メンタルとか、もうすべてにおいて成長したなと思います」。しっかりとクリーンシートで抑え、ラストゲームを締めた。

大宮の１年生キーパーが足りなかったことや埼玉栄高・滝井友和監督の後押しもあり、１年間のレンタルが実現。伊藤は「自分自身この１年はとにかく成長した１年だと思っていて」と語る。

「最初は本当に基礎から教えてもらって。自分自身、中学のときももちろん教えてもらっていましたけど、やっぱり本当に深いところまでは実際あんまり触れてなかったので、体幹の部分だったり、ここはどうやって弾くとか、そういうところはやっぱり、本当にエズさんがそういうところは１から教えてくれたので、自分自身もその積み重ねが成長に繋がったのかなと思います」

Jの舞台でも活躍した江角浩司GKコーチから教わったことは「本当に全部、指導のすべてが記憶に残っています」。その中で「（一番成長できたのは）シュートストップかなと思っていて、最初の頃はやっぱり自分自身失点も多かったですけど、やっぱりだんだん技術が備わってきてメンタル的にも詰まってきて、やっぱり失点も減ってきて、そこが成長かなと思います」と話す。

試合後の雰囲気を見ても、１年間のレンタルとは思えない馴染みぶり。伊藤も「そこはやっぱり自分のひとつの長所だと思っていて。それこそ最初高校に入ったときとかも、そういう力は自分はあると思っていて、結構関わるのが得意」と話すが、「今回はちょっと実は違くて」と明かす。

周りはJアカデミーの選ばれた選手たち。最初の頃は技術の違いから積極的になれず、同年代でも敬語で話していたという。それでも「技術が備わってきた分、ついていけるようになって、自分も出せるようになった」。そしてそんな伊藤をチームメイトたちも「受け入れてくれました」。金澤慎コーチも「キャラクターも良いですし、チームのムードメイカーとして本当にプラスしかなかったなと。なので彼がいなくなるのが逆にみんな寂しいです」と欠けることをさみしがった。

2025年からは埼玉栄高に復帰し、新たな挑戦が幕を開ける。「この１年はやっぱりそれこそ栄の滝井監督も自分をこのアルディージャに送り出してくれたので、その分を栄に還元すること。そのうえで栄で選手権優勝することがアルディージャへの、教えてくれた分の恩返しだと思うので、そこは来年頑張ります」。高校でも活躍し、嬉しいニュースをたくさん届けて、恩返しする。

石黒登（取材・文）