指揮官も「大したもの」と太鼓判! 正智深谷の守護神・森穂貴が憧れの舞台で好プレーを連発「気持ちよかったです」
憧れ続けた全国の舞台は「気持ちよかったですね」。2-1で長崎総附に勝利し、8年ぶりの選手権勝利を掴んだ正智深谷だが、その中でも守護神・森穂貴(3年)の活躍は欠かせなかった。
正智深谷は前半長崎総附に押し込まれることが多かった中で森のプレーがチームを勇気づけた。
12分、相手のミドルシュートに対し、バックステップを踏みながら指先で触れてクロスバーに逃れた場面については「自分的にはもっと早く判断して、コーナーに逃げるとか、どうにかできたと思うんですけど、自分の判断が遅れちゃって」と反省するが、すごかったのがこのあとだ。
こぼれ球に相手選手が猛然と飛び込みダイビングヘッド。先のシュートで体勢を崩しており、決定的かと思われたが、すぐさま立ち上がると、相手の追撃にも反応し、ビッグセーブで防いだ。
「セカンドボールの対応っていうのは結構課題だったので、練習でやってきた、その起き上がるところの速さっていうのは出てよかった」「最初から押し込まれて、入りは良くないなと思ったんですけど、自分が止めることで流れが変わるんだったら、それが一番だと思っていました」。短期決戦で早々の失点は命取り。間違いなく、試合の流れを引き寄せたビッグプレーとなった。
後半も「やっぱり長崎総合高校さんはセットプレーとかそういうところが強みであるので、そこでいかに自分が積極的にやっていけるかっていうところは考えていました」という森は相手のフリーキックなどで果敢にプレーしパンチング。また、「来たら自分がやるっていうのは思っています」と話す、県予選でも光ったクロス対応でも抜群の存在感を発揮して最少失点で抑えた。
そんな守護神に小島時和監督も「もう大助かりですよね。守備ディフェンスとかゴールキーパーの活躍がないとこういうトーナメントは勝てないので、大したもんでしたね」「普段は真面目でおとなしいタイプで、そんなにでしゃばるタイプじゃないんですけど、ペナルティエリアではでしゃばって良いプレーをしてくれます」とピッチ内で、プレーで雄弁に語る守護神を評価した。
“選手権”は、現在同校の女子部顧問を務める父に連れられて、小さい頃から憧れ続けた舞台。8年前の正智深谷の全国8強入りも現地で生観戦しており、小6のときにはフィールドをやるか、キーパーをやるか迷っていたという中で全国大会に出場した浦和南GK正野友稀らの活躍を見て「キーパーってかっこいいな」と思い、本格的にキーパーを志すきっかけとなった場所だ。
「(会場に)入ったときは、観客が多くいて、もうひとつひとつのプレーでワァーっとなるので、本当に来ちゃったんだなっていうのは実感しました」という森は「気持ちよかったですね」と表情を崩し、そこに立った瞬間を語る。夢をもらった舞台で、今度は自分が夢を与える存在に。それでも森は「とにかく自分はチームのためにプレーできれば、周りがなんと追うとそれが一番だと思うので、そこはやり通していきたいと思います」と次戦もチームのために戦うことを誓った。
2回戦はプレミアWEST所属で3度の大会優勝を誇る東福岡が相手。「とにかく攻撃力があっても、自分たちの守りから入って、しっかりクリーンシートっていうところをやっていけば勝利に繋がっていくと思うので、とにかくクリーンシートっていう部分を仲間とコミュニケーションを取りながらやっていきたいです」。実直な守護神が次戦も最後方からチームに安定感を与える。
石黒登(取材・文)