昌平DF水本菜々「成長できたなって」。ベンチでも腐らず、自分に矢印を向け続けた3年生CBが関東1部がけの試合で勝利貢献

「3年間やってきて、やっと関東2部に上がれて、そこで勝ち切れたっていうのがすごい嬉しかったし、自分でも2年のときはうまくいかなかったことが発揮できたことが一番嬉しかった」

関東U-18サッカーリーグ2部第13節vs.流通経済大柏戦。引き分け以上で来季の1部昇格が決まる昌平は前節、主力DFの小室瑠花(2年)が負傷。この日はメンバーを外れた中で、代わって出たDF水本菜々(3年)がその穴を感じさせないプレーを見せてチームの勝利に貢献した。

「今日は緊張していたんですけど、日々の練習の積み重ねとか自主練とか、たくさんしてきて自信がついていたし、「練習でやってきたことを活かせば絶対に大丈夫」って自分自身で考えていて。あとは周りの仲間の支えもあって、自分がやりたいことをしっかりやれたかなって思います」

急遽のスタメンだった中で「相手が蹴るっていうのはもう最初からわかっていたので、守備の(津久井)小夏とアズ(森居杏桜)と3人で、蹴られるときはもう予測して下がろうとかいろいろ言っていて、予測して守備ができたので安心感があった」。お互いの特徴も熟知する3年生3バックで予測しながらプレー。そして個の部分でも1対1や競り合いで安定したパフォーマンス。前半は相手が攻め込んでくる中で、身体を張ってシュートブロックに行くシーンもあった。

また、守備だけではなく、「松井がもう裏に出せば絶対に行ってくれるとわかっていたので、(メッセージを)込めて出しました」とエースFWの松井美優(2年)に攻撃の起点となるフィードも。森田光哉監督も「すごく反応も良く、フィードも守りもやってくれた。怪我は不運ですけど、誰が出ても同じスタイルで行けるっていうのはすごく今日は頑張ってくれました」と評価した。

水本は1年生の頃から出場機会を掴み、昨年もシーズン当初はレギュラーポジションを確保していたが、関東大会1回戦の修徳戦後にスタメン落ち。「自分の実力不足で1回ベンチに落ちて、周りもレベルが高いのでそこから上がるのが本当に難しくて」。その後はなかなか定位置を取り戻せず、悔しい想いを抱えた時期も。その中でも「自分の個性を一番大切にして、インターセプトとか、守備の要とか、絶対にやらせない守備を自分の目標にしていて、それで練習とか自主練で仲間と1対1をしたり、いろいろスキルを上げていった」という3年生CBは「いまここで試合で発揮できたことが、一番成長を自分でできたなって実感しました」と言って笑顔を見せた。

29日からはいよいよ選手権が開幕する。「私は盛り上げ担当としてチームを盛り上げたい」という水本は「このチームは絶対に勝てると思うので、チームで一体感を持って、そして3年生の集大成として絶対に全国大会で良い結果を残せるように、自分自身もベンチだとしても、スタメンだとしても、自信を持って緊張せずにやりきれるように頑張っていきたいです」と意気込みを語った。集大成の大会もピッチの中から、外から仲間たちを盛り上げて、チームの勝利に貢献する。

石黒登(取材・文)