正智深谷DF鹿倉颯太、「試合を決める」左足炸裂! 今大会2度目のFK弾でチームを4強導く
「今日、多分1試合を通して、自分たちの流れに全然ならなかったと思うんですけど、そんな中でも自分のキックは1本で試合を決められるので、チームを救えるようにこれからもなりたい」。正智深谷DF鹿倉颯太(3年)の「試合を決める」左足が準々決勝・浦和東戦でも炸裂した。
正智深谷は前半4分、鹿倉の左CKからDF佐藤飛友(3年)がニアポストで触ったボールが相手のオウンゴールを誘い先制したが、その後は相手の圧力を受ける中で苦しい時間帯が続いた。
後半、正智深谷はメンバーを数枚入れ替え。鹿倉も左SBから左SHに1列上がり「自分がもっと攻撃参加してクロスを上げていきたいと思った」と積極的に左サイドを駆け上がりながら7分にはクロスから決定機を作ったが、なかなか勝利を大きく手繰り寄せる2点目には至らない。
その中で迎えた14分だ。正智深谷はエリア右斜め外で10番のMF近藤七音(3年)が粘ってフリーキックを獲得すると、鹿倉の左足がうなる。短い助走からコンパクトに振ると、シュートはファー上角のここしかない“神コース”に突き刺さり、正智深谷に欲しかった追加点を与えた。
「昨日も練習で同じ場所から蹴っていて。狙い通りでした」。いつもはファーに蹴ることが多いという中でニアに2枚を立たせ、空いたファーに最高のコントロールシュート。昨年は選手権メンバーに入ることができずベンチ外だったレフティはスタンドに駆け寄り喜びを分かち合った。
22分には「前を向いた時に、いつもは見えていないんですけど、キーパーが見えて、ワンチャンあるかなと」と自陣深くから超ロングシュート。惜しくもあとひとつ落ち切らずゴールとはならなかったが、文字通り、自慢のキックで勝負を決めて、正智深谷を4年ぶりの4強に導いた。
今年は関東予選の武南戦やリーグ戦、今大会初戦の伊奈学園戦でもフリーキックでゴールをゲット。アシストも数えきれないほど記録してきた。「自信はこの1年とか選手権までの間に本当について。どの位置からでもゴールに、アシストに得点に関われる自信はあります」と胸を張る。
「やっぱり流れが悪くても本当に『(流れを)変えるキック』だと思っているので、それを準決勝、決勝でも絶対に活かして優勝できるように頑張りたいなと思います」。2012年に正智深谷が全国高校サッカー選手権に初めて出た時の10番で現コーチの清水和哉コーチをお手本にキックを磨いてきたレフティが「試合を決める」「流れを変える」キックで4度目の全国に連れていく。
石黒登(取材・文)