正智深谷MF白岩龍、「今日は点を取る気で来た」。期待のアタッカーが今季公式戦初ゴールでチームを救う

「今日は点を取る気で来たので」。本人にとっても待ち望んだ今季公式戦初ゴール。正智深谷は0-1で迎えた後半、MF白岩龍(3年)がクロスをヘディングで押し込み、チームを救った。

「(前半は)相手の2番(吉岡洸晟)が結構自分についてきていたので、足下でボールを受けるしかなくて。裏もなかなか取れなかったので、自分が裏に抜ければよかったかなと思います」

正智深谷は押し込みながらもゴールに迫りきることができず、逆に聖望学園にセットプレーからのワンチャンスをものされてしまう。それでも後半は途中出場のMF栗原エイト(3年)が起点となり、左サイドからクロスが上がるようになった30分、ついに同点ゴールが生まれる。

「鹿倉からのクロスはもう絶対にここだなって。もう完全にそこにしか来ないなみたいな。信じてそこに飛び込んだ」。左SB鹿倉颯太(3年)のクロスは練習から何度も合わせてきたコース。守備の背後から入り、ドンピシャのヘディングで合わせるとボールはネットに突き刺さった。

待望の今季初ゴールはチームを救う同点弾。「もう嬉しすぎて、言葉にできない。でも、すっげえ嬉しかったです」。小島時和監督も「リーグ戦の初っ端もビッグチャンスを外したりして悔しがっていて、「監督、今度は決めます」と。今週は練習でもすごい入れていた。「今度は公式戦で入れろよ」って話をして、見事、今回はすごいゴールを入れてくれたのでよくやった」と労った。

ゴール後はベンチに駆け出し仲間たちと喜びを共有すると、そのままの足で今度は応援席へ。「応援してくれるみんながいたからこそもあるので、感謝の気持ちを伝えて、「俺が決めたぞ!」っていうのを見せつけて、「応援してくれてありがとう」みたいな気持ちを見せに行きたかった」。

延長前半5分に足を吊らせて交代。最後までピッチに立っていることはできなかったが、「もう仲間を信じて、こいつらならやってくれるだろみたいな」。その後、チームはPK戦の末に勝利。「もう感謝です。俺が最後まで出たかったですけど、出られなかったのに申し訳ないけど、しっかり勝ってくれて、ありがとうございますっていう感じです」と、仲間たちへの感謝を語った。

縦への突破と裏抜けが武器で今季のキーマンのひとり。10番のMF近藤七音(3年)とは「当てて裏に抜ければボールが出てくるみたいな信頼がある」(白岩)、「信頼してもらって、こっちも信頼して出している」(近藤)とあうんの呼吸で武南戦も2人の連動からチャンスを作るシーンが多かった。理想の選手には「速い上に技術もあって、頑張るじゃないですか。そういう選手像に憧れてて」とブラジル代表やACミラン、レアルマドリードでも活躍したカカを挙げる。

「今年は最後の年なので、関東だけじゃないですけど、インハイも選手権も1位を取って、全国に行って良い成績を残したい。次(の決勝)もまた俺が点を取って、しっかり勝ちきって1位で関東に出られればいいと思います」。勢いに乗るサイドアタッカーが決勝でもチームを勝たせる。

石黒登(取材・文)