2冠狙う尾間木中で“異質”を放つプレーメーカー MF加藤大瑚が圧巻の3人抜きから逆転Vに繋がる同点弾!

中盤で“異質”を放つプレーメーカーの一発がゲームの流れを変えた。さいたま市学校総合体育大会決勝。尾間木中は0-1で迎えた後半9分、MF加藤大瑚(3年)が貴重な同点ゴールを記録。PK戦では加藤を含む全選手が決めて、ライバル南浦和中を下し市大会タイトルを掴み取った。

尾間木は前半、相手の圧力もあり、なかなか自分たちのプレーができず、先に失点してしまう。

「前半は少し相手の勢いに呑まれてしまった。ハーフタイムでもっと自分たちらしく、尾間木らしくというところで先生からも言われて、後半はそこをちゃんと意識して挑みました」(加藤)

後半は相手の圧力を恐れず、伝統とする中央突破に果敢にトライ。加藤自身も中央を「ドリブルで切り裂いていく」イメージを持っていたという。すると9分だ。エリア手前でボールを持った加藤は1人目を右に切り返して外すと、寄せてきた2人目のプレスも受け流しながら前進。さらに「股が空いていたので」と3人目を股抜きで交わすと、最後も冷静に右足で流し込んでみせた。

独特なリズムで狭いエリアをスルスルと抜けていくドリブルは尾間木の中でも“異質”。髙橋淳監督も「彼なんかがうちの持ち味をちゃんと消さずに、パワーのある子たちなので、ちょっとそっちに走りがちなんですけれども、それをあいつのくにゃくにゃした感じのプレーが、やっぱりアクションとしては相手のやばいなとか、うちのチャンスだなに繋がるものになってくる」と話す。

これからが本番の夏の暑い中でも最後まで持ち味を発揮するべく、体力的な部分でも「前よりも走れるようになってきた」。一方で「まだまだ走れるようになりたいし、やっぱり1人2人じゃなくて、もっと全員を抜けるようなパスとか、相手の裏を突くようなパス、そういうのをもっと意識していきたい」。持ち味とするパスにも磨きをかけて、相手をさらに圧倒できる選手を目指す。

「県大会もこのまま続いていく。ベスト4で南中と当たるかもしれないので、次もう一回勝てるようにチーム一丸となって頑張っていきたい」。その中でも個人としては「今日と同じように、パスも出せるし、ドリブルで切り裂けるというのを目標にやっていきたい」と語る。県の舞台でもスルスルと抜けていくドリブルや決定的なラストパスで攻撃を牽引し、チームを2冠に導く。

石黒登(取材・文)