昌平MF長準喜、自らの決勝弾で「憧れ」のプレミア参入掴む! 選手権でその名を揚げる可能性大の注目2年生ボランチ

選手権でも要注目な昌平の技巧派MFは得点は「点が決められるボランチ」となって日本一へ。昌平MF長準喜(2年)は自らの決勝ゴールで「憧れ」と話すプレミアリーグ昇格を決めた。

勝てば来季のプレミア参入が決まる浜松開誠館(静岡)戦。立ち上がりは相手のコンパクトな守備や速いプレスもあり、なかなかいつものようにドリブルで前に運んでいくような場面は少なかったが、前半27分、センターサークル付近でボールを持つと持ち味のドリブルを開始する。

「ドリブル侵入することで流れが変わるというか、中盤で回すことも大切だと思うんですけど、あそこで自分が入っていくことで、もっと流れが変わっていくし、もっとゴールに近づくと思う」

中央をドリブルで割っていくと、一度MF篠田翼(3年)に預けて自らはゴール前へ。「常にチーム全体でコミュニケーションを取っているので、あそこら辺の崩しは自分たちが得意としている場所」。篠田が相手DFを引きつけ、ヒールパスによるリターンを受けると、思い切りよく右足を一閃してゴールに突き刺し、これがチームをプレミアリーグ昇格に導く決勝弾となった。

自らの一振りで来季の主戦場を掴み取った長は「(プレミアは)憧れの舞台でもありますし、上がれたのは素直に嬉しく思いますし、3年生には本当に感謝しています」と喜びを表わした。今夏はインターハイで大津と、ワールドチャレンジでは静岡学園と当たるなど、そのレベルを肌で経験。「もっと高いレベルでやりたいと自分自身、またチームとして思っていたので、トップレベルのプレミアに上がれたということは誇りに思います」と来季に向け、胸を昂ぶらせていた。

特にワールドチャレンジでは静岡学園のG大阪内定MF高橋隆大(3年)のプレーに衝撃を受けた。長も168cmと決して大きくはないが、高橋の身長はさらに小さい157cm。その中で「本当に衝撃を受けた選手のひとり。本当にうまかったですし、取られないですし、シュートを決めきる力もあった」。最高峰のプレミアにはそういった特別な力を持った選手が各チームにいる。「そういうチームとやれるというのは、自分自身のレベルアップにも繋がると思う」と話す。

夏まではトップ下、選手権予選は主に左SHを務めていたが、決勝ではボランチとして起用された中でドリブルによる打開やボールを奪われない技術の高さ、また「意外に強い」ヘディングで弾き返すなど、出色の出来。「ポジションが変わってもやるべきことは変わらない」というが、「自分としても、あの決勝で自信になった」とボランチとして手応えを感じた試合にもなった。

また、藤島崇之監督がさらなる進化として期待しているのが得点の部分。試合後には「準喜、得点の取れるボランチになろうな」と声をかけていた。「彼の技術的な良さというところを出す上でまたひとつポイントを探すとしたら点やアシスト。うまさは随所に見えますけど、それを数値化できる部分で表現できるような選手になってくれば、もっと良くなるかなと思います」と話す。

長も「ボランチからでも点を決めたり、アシストしたりチャンスメイクしたり、守備の部分でもすべてのボールを刈り取ったり、相手にいて本当に脅威である選手になりたい」と理想形を語る。

この日は得意のドリブル侵入から得点という部分では良さを示したが、「セカンドボールの回収だったり、体力面でも90分走れるかと言ったら、今日は結構疲れていた方なのでもっと改善するべきポイントはまだ自分自身、本当にたくさんある」とし、「満足はしてないです」。そういった部分を改善し「プレミアでも自分と相棒の飛雅で、もう「日本一のボランチ」になるぐらい、切磋琢磨してやっていきたいです」。相方のMF土谷飛雅(2年)もキックの名手。その土谷と日本一のボランチコンビとして来季プレミアを席巻するべく、さらなるレベルアップを目指す。

そして最高の流れで迎える選手権では「インターハイはベスト4という悔しい想いをしましたし、もう日本一しか考えていない。昌平のみんなと日本一長い冬を過ごしたいです」と長はいう。

また、目指しているプロサッカー選手に向けてもアピールの場となるが、「自分のアピールも考えてはいるんですけど、それは一旦置いておいて、チームの勝利を第一優先に戦っていきたいです」と話す。それでも勝ち進めば、自ずと注目度は上がっていくはずだ。チームにはFC東京内定MF荒井悠汰(3年)、鹿島内定DF津久井佳祐(3年)といったプロ入りを決めた選手に加え、年代別代表や日本高校選抜などがいる中で長は全国区で見ればまだ無名だが、藤島監督も最重要選手のひとりに挙げる技巧派MFが選手権で大きく名を押し上げる可能性は十分にある。

石黒登(取材・文)