10番FW伊藤風河が昌平ⅡをS1首位に導く決勝弾! 「点を決められるFW」で差を、翌日にはプリンスでも劇的同点ゴール
正智深谷とのS1リーグ首位攻防戦で、昌平Ⅱは途中出場のFW伊藤風河(3年)が決勝ゴール。「結構自分はああいう時間帯に使ってもらえることが多い。前期とか夏は全然点が決められなくて、だんだん点を決められるようになってきて、今日も監督からも「点頼むよ」と言われていたので、決められてよかったです」と、プリンス関東2部昇格に大きく近づく決勝弾を喜んだ。
この日出番が回ってきたのは0-0の後半23分。首位浮上へ、なんとしても1点が欲しい場面。FW小田晄平(2年)とともに投入されると、持ち前の得点への意識を見せていく。35分には右クロスをオーバーヘッド。これは相手GKの好守に阻まれたが、ゴールへの匂いはさせていた。
終盤にかけてもスコアレスのまま進行したが、「審判に聞いたら、アディショナルを入れて10分あるよって言われていたので、絶対1点は行けるなっていう感覚はあった」。すると44分だ。右からのクロスを伊藤らと同じタイミングで入ったMF鈴木宏幸(1年)がヘディングシュート。ゴール前で混戦になったところを「気持ちで押し込んだ感じ」と伊藤が身体ごとプッシュした。「ネットが揺れなかったから入ったか怪しかったんです。ゴールってなった時には、もうベンチの方に飛び込みました」。これが決勝ゴールとなり、昌平Ⅱは最終節を前にS1首位に浮上した。
「去年もS1で出させてもらって、今年は集大成として監督からも「今回のS1は取りたい」と話をしてもらっていて、背番号も良い番号(10番)もらって、自分がここで結果を残さなきゃ3年間何してたんだってなっちゃうので、本当に一番大事な試合で結果を残せてよかったです」
昨年からフィジカルの強さという部分でチームにない色を加えていた中で今年は「去年まではまったくなかった」というクロスへの意識を藤島崇之監督にも指摘され、自主練などで取り組んできた。「今日も折り返しからの頭で決められた。本当は足で一番決めたいですけど、自分の弱みだったところが練習で補えて、そこで結果を残せたので、自分的には満足できています」。もちろん身体の強化も継続しながら足りない部分を補い、「進化できたかなと思います」と話す。
今年の昌平はFWが激戦区。選手権予選では鄭志錫(1年)がワントップを務めたが、U-17日本代表の小田やインターハイ予選決勝で優勝に導くゴールをマークした平叶大(2年)など、それぞれ違った特徴を持つ選手がおり、出場選手によって戦い方を変えられるのはひとつの強み。その中で伊藤は「自分はやっぱり身体の強さを生かしたプレーで、点の意識をもっと高めて「点を決められるFW」で差をつけられればと思っています」と、ゴールで差をつけたいと語った。
翌日行われたプリンスリーグ関東1部・鹿島アントラーズユース戦。途中出場した伊藤は1点ビハインドで迎えた後半AT、MF土谷飛雅(2年)のFKをヘディングで合わせて2戦連続の終了間際の劇的ゴール。トップチームでもゴールという結果を残し、しっかりとアピールした。
次節はS1リーグ最終節。引き分け以上で優勝が決まるが、その試合でも追い求めるのはゴール。「次もその後のプリンス参入戦でも結果にこだわって点を決めて、そのまま選手権に向かえたら自分の中ではベストだなと思っています」。ゴールを取り続け、最高の状態で選手権を迎える。
石黒登(取材・文)