本庄第一MF松野尾沙斗、1列下のプレーも守備で奮闘 10番背負った姉には「走り負けたくない」

花咲徳栄との死闘を制し、学校総体では6年ぶり14度目の優勝を果たした本庄第一。その立役者に川合拓郎監督は松野尾沙斗(3年)、丹治希ノ花(3年)の小柄なダブルボランチを挙げる。

「相手の方が中盤は身体能力が高くて、ヘディングとかも身長もうちの方が小さいし、厳しかったと思うんですけど、ちょっと間延びしそうになりながらも最後までやってくれた。そこが行かれちゃったら多分後ろも我慢しきれなかったかなと思うので、(MOMは)その2人ですね」

その一角を務めた松野尾は本来であれば、トップ下やFWをメインに豊富な運動量を発揮する選手。今大会トップ下に入った小池樹里(1年)がボランチを主戦とするが、「守備のことを考えるとまだちょっと強度が足りなかったり、ヘディングが弱かったりするので、この大会は逆で行こうと」(監督)という戦術的な理由もあり、普段より1列下でプレーすることを求められた。

ボランチ自体は練習試合などで経験していたというが、公式戦では今年から。その中で「前に上がり過ぎちゃう癖があったんですけど、そこを修正して、そのポジションで出来るボール回しだったり、競るところだったり、そういうところをしっかりとやりたいと思っていました」という。決勝の花咲徳栄戦では「ルーズボールとか浮き球の処理でガッツリ行けたと思います」と体格で勝る相手に奮闘。「課題もいっぱいあるんですけど、出来る最大限が出せた」と手応えも見せた。

姉の沙也も本庄第一の出身で、小柄ながらもやはり運動量とテクニックを持ち、2年前の選手権予選では10番を背負い、チームの4年ぶりの県タイトルに貢献した。現在十文字大でプレーする姉は「決めるところですごい決めるし、やるところはガッツリやっているし、いろいろ刺激をもらっている」存在。その中でも「姉には走り負けはしたくない」という運動量は沙斗の武器だ。

「守備面でも前を向かせなかったり、絶対に抜かれないですし、攻撃の面でも前線まで上がっていって得点にも絡んでいるのですごい」と参考にしている日本代表MF田中碧のように攻守両面で活躍出来る選手を目指す。予選決勝は守備に回る機会が多かっただけに、関東大会では「得点に絡めるパスだったり、繋ぐところが出来たら」と攻撃面でも貢献し、チームを勝利に導く。

石黒登(取材・文)