正智深谷MF外立翼、優勝決める決勝弾も「悔しい」大会に。地元四国のインハイ、選手権での全国目指し、「もっともっと成長する」

怪我明けのエースが決勝ゴール―。正智深谷のNo.10、MF外立翼(3年)は武南との決勝戦に後半25分から途中出場。PK濃厚かと思われた延長後半8分、DF冨岡佑太(3年)のFKにDF岩崎佑槻(3年)、187cmの長身FW伊比瞳弥(3年)が競ったボールが外立のもとへ転がる。

「自分はあまりシュートが上手くない。しっかり押さえて決めようと思って、振り抜きました」。

ハーフバウンドのボールを右足でボールを捉えるとゴール左下隅に丁寧に流し込んで欲しかった先制点を奪取。「決めた瞬間はすごい嬉しかったんですけど、まだ試合が終わっていなかったので、もうちょい締めていこうと。負けたら嫌なので締めていこうと思いました」とその後も浮かれることなく、しっかりチームを引き締め。そしてついに終了のホイッスルの瞬間を迎えた。

仲間たちと歓喜に沸く中で、しかし外立に生まれたのは「悔しい」という感情だったという。

「(決勝ゴールは)嬉しかったんですけど、途中から入って全然仕事が出来なかったのは非常に悔しかったです」。外立の入った後半はちょうど武南の猛攻を受けているところだったこともあり、チーム全体として守備に回る場面が多く、なかなか攻撃で見せ場を作ることが出来なかった。

また、今大会は2回戦の浦和学院戦で左足を肉離れ。幸い軽いものだったものの、筋断裂に繋がるリスクやその後のリーグ戦やインターハイ予選を見据え、準々決勝の浦和南戦、準決勝の武蔵越生戦はベンチを外れることになった。それでも決勝を前に練習に復帰。「「どうする?」と話をして「出来ます」と言うから、じゃあ20分くらい行くかもしれないという感じだった。昨日一晩中考えてやっぱり入れようということで、仕事をしてくれた」と小島時和監督は復帰後すぐにゴールという結果を残したエースを讃えたが、「今大会は自分がチームを勝たせるという目標でやっていた」外立にとっては不完全燃焼の大会に。だからこそ出た「悔しい」という言葉だった。

外立は徳島県の出身。小学校時代は地元で過ごした中で、中学からは親元を離れ祖母の家に下宿する形で東京都の強豪クラブ・FC多摩で技を磨いた。“エフタマ”の同級生で流通経済大柏の主将DF大川佳風は当時から2人組をやったり、現在も頻繁にLINEを交換する仲。「佳風が活躍しているのとかめちゃくちゃ悔しいし、負けたくないなとめっちゃ思います」と闘志を燃やす。

今年のインターハイは地元四国での開催。「めちゃめちゃ行きたいです!」と外立も言葉に力を込める。成長した姿を両親や友人たちに見てもらうために、夏の全国はひとつ叶えたい目標だ。

「もっともっと成長して自分がチームを勝たせられるような選手になりたい。(優勝はしたが)今大会は(プリンスリーグ参加校の)昌平や西武台がいなかったので、全然まだまだ足りないと思う。もっと成長して、インハイも、選手権も、自分が勝たせられるように頑張りたいです」

嬉しさとともに「悔しさ」の残った関東大会予選。この悔しさを糧に大きく成長し、「チームを勝たせられる存在」となって、正智深谷を2年連続のインターハイ、そして選手権で全国に導く。

石黒登(取材・文)