ウオーキングフットボールの認知拡大を目的に大会を開催【第1回ペンギンズ杯埼玉】
ウオーキングフットボールの第1回ペンギンズカップ埼玉が12月1日、埼玉、神奈川、千葉から12チーム、約90人が参加してさいたま市内で開催された。
ウオーキングフットボールとは文字通り、走らずに歩いてプレーするサッカーのことで、2011年7月にイングランドで開かれた55歳以上の高齢者の健康増進を狙った競技会が原点とされる。
日本サッカー協会では競技経験がなくても、運動が苦手でも、障がいがあっても怖がらず安全にプレーできるよう、ボールを奪うことを反則とする日本独自のルールを導入。誰でも気軽に楽しめる生涯スポーツとして普及活動を展開中だ。
主な特有のルールは①全員が歩いてプレーする②ヘディング禁止③接触禁止④ボールの高さはゴールの高さと同じ1.2㍍④オフサイドなし-となっている。
埼玉県ウオーキングフットボール連盟の柴田宗宏理事は、「今後、埼玉で活動するチームをうちの連盟の支部として統括していきたい。そのためにも年に3回は大会を開催し、ウオーキングフットボールを認知してもらい、競技人口を増やさないといけない。それがこの大会を開催した目的のひとつでもあります」と述べた。柴田理事はペンギンズ杯埼玉の実行委員長でもある。
大会は覇権を争うコンペティションの部、競技を楽しむエンジョイの部に6チームずつに分かれて行われた。小学生から大学生がはつらつとプレーすれば、60代も70代も女性陣も元気に動き回った。
ヴェルディ相模原でプレーする中学1年の松井柚香さんは、「いつものサッカーと全然違う体験ができました。歩きながらやるのは初めてなので、難しさもあったけどすごく楽しかった。機会があればまたやってみたい」と話していた。
Jリーグ97試合で主審を担当した元国際審判員の濱名哲也さん、日本サッカー協会の審判委員長だった黛俊行さんも参加し、ボールと人との触れ合いを楽しんだ。埼玉県最古の少年団として、1965年に創設された北浦和サッカースポーツ少年団で山田直輝(前湘南ベルマーレ)や前田直輝(浦和レッズ)、矢島慎也(清水エスパルス)を育てた吉野弘一さんは、歩くサッカーに“入門”した県内では古株のひとりだ。
コンペティションの部は、ロク・フットボールが5連勝で初代王座に輝いた。
15得点・2失点で優勝したロクの吉田雄飛さんは「ウオーキングサッカーは今日が初めてでしたがとても楽しかった。体の使い方や相手との間合い、ボールの芯を蹴るといった本当のサッカーのうまさが試されますね」と笑顔で話し、「タックルできないのが少しもどかしかったのですが、ひと味違うサッカーの面白さを感じることができました」と初体験の感想を語った。
ロクはさいたま市のエルフ・フロインデ・スポーツクラブが運営するクラブ。浅井重夫代表は日本リーグの日立製作所(現柏レイソル)で10年プレーした元日本代表候補で、82年創設の第3、4種年代のロク・フットボールクラブで長年、代表と監督を務めている。
柴田実行委員長は記念の第1回大会を終え、「けが人もなく皆さん楽しくプレーできて良かった。今後はウオーキングフットボールの認知度を高め、競技人口とチームを増やす努力と工夫をしたい。九州や北信越は他の地域より進んでいるので、埼玉も頑張っていきたいと思います」と述べた。
近頃まで、日本ウオーキングフットボール連盟の副会長だった柴田実行委員長は、日本リーグの強豪だった読売サッカークラブ創設時から選手兼コーチとしてかかわり、読売クラブの基盤を築いたひとりだ。浦和高校で日本ユース代表、東京教育大(現筑波大)では主将を務めた。
河野正(取材・文)