佐相壱明選手(昌平FW) 大宮アルディージャ入団会見 全文公開

7日、昌平高校にて、来季より大宮アルディージャに加入が内定している佐相壱明選手の入団記者会見が行われた。佐相選手はオフザボールの動き出しのうまさとスピードに、力強いシュートを兼ね備えるストライカー。相手を背負ってのポストプレーにも長けており、チャンスメイクにも定評がある。今年は新人戦で5得点をマークしてチームを連覇に導くと、初優勝を飾った関東大会では大会優秀選手にも選出された。インターハイでは2回戦敗退と残念な結果に終わったが、選手権で再び日本一にチャレンジする。今回は記者会見の全文をお届けする。

城川雅士校長

本校の歴史の中でJリーグ選手というのは、昨年度ジュビロ磐田に入団した針谷(岳晃)くん、サンフレッチェ広島に入団した松本(泰志)くん、2人ともいまプロの世界で頑張っていますが、それに次いで3人目ということになります。本校の歴史の中でも非常に大きいですし、本校で学んでいる生徒たちにとっても勇気と自信を与える、そんな出来事でございます。

佐相くんもこの3年間、私はサッカーについては素人なのですが、その私から見ていても本当に成長したなと、サッカーの部分でもすごくうまくなったなと、素人的な見方でもそういう感を強く持っています。当然本人がものすごい努力をしたのだろうなということも想像できます。

関係した先生方に「佐相くんはどういう生徒だった?」という話を聞くと、とにかく集中力がすごいと。物事に目標を立ててそれに向けて取り組み出すと、本当に一気に短期間で成長していくと。そんな力を持っている生徒だというふうに我々は捉えております。具体的には例えば今年の英検で見事2級を取りました。英検2級というと高校生の中ではかなり力があるというようなところになりますが、そんな力も持っているというところも合わせてご紹介の方をさせていただきます。

これから実際にプロの世界に入ったらそれがスタートラインになります。プロの中でしっかり彼の立ち位置を作り、活躍していく姿というのを我々も期待していますし、学校に関わってくれた方々、そして応援をしていただいた方々には、ぜひ今後も引き続き佐相くんの応援をよろしくお願いしたいと、そのように思っております。それをお願いして校長の挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございます。

大宮アルディージャ・松本大樹強化本部長

今年はなかなか結果も出ずと厳しい中にはおりますが、必ず残留したいという中で佐相選手にオファーをさせていただきました。必ずや来季J1で佐相くんの活躍ができるようにと、こちらとしてもしっかりといきたいと思っております。

佐相くんについては非常にFW、ストライカーとしての最後の決め切るというところの潜在能力を買ってオファーさせていただきました。もちろん18歳でプロ入りというところで、なかなか難しいところもあるかと思いますが、しっかりと大事に育てて、いずれ大宮、そして日本、世界といってくれるような選手に育ってもらいたいと思っております。

藤島崇之監督

今年度、昨年度に引き続き、ジュビロの針谷、サンフレッチェの松本に続きまして2年連続3人目のJリーガー誕生ということで私自身も、また学校としても大変うれしく思っております。

本当に今回多大なるご評価をいただきまして、入団内定という形にしていただきましたことを大宮アルディージャ松本さま、西脇(徹也スカウト)さまには大変感謝しております。ありがとうございます。

それでは私の方で佐相壱明についてのプロフィールも含めて紹介させていただきたいと思います。佐相ですが、高校1年時につきましては夏以降のところで頭角を現しまして、関東プリンスリーグをはじめとする公式戦に数多く出場するなど、様々な経験を積みました。2年時は途中出場で流れを変えるという形での役割を担ってまいりました。そして今年度新チームに切り替わり、自分自身が中心になってやるんだというと強い気持ちの中で、本当にエースとしての自覚といいますか、責任といいますか、そういった部分が見られるようになりました。

トレーニングレベルもさらに高いものにし、そういった部分で3年生になってというか、新チームに切り替わってから本当によく伸びた選手だなと思っております。

私自身も15年間指導者という形でサッカーに携わらせてもらっていますが、本当にこれだけ伸びる選手も稀だなと思っております。プレーの特徴に関しましては先ほど松本さまからもお話がありましたが、チームではなかなか結果という部分で得点が取れているかという部分がまだまだ課題はあるかと思いますが、実は練習参加をさせていただいた際の練習試合では後半で2得点、1アシストという形で、本当に短時間で結果を出せたという状況はありました。

本人とも進路の面で話をしていく上で、大学の選択肢も数多くあった中で、本当にプロに行きたいのかというところでかなり密な話をしてまいりました。その中で本人が「いや、俺はプロになりたい」と。でも私自身は正直本当に大丈夫かという不安要素はありました。ただ練習参加をする中で本人の覚悟が見えたシーンが、練習試合の際に後半FWのポジションで使っていただいていたんですが、ポジションの流れの中で左サイドハーフの選手とトップの選手が入れ替わるシーンがありまして、なかなか左サイドだとディフェンスをするシーンがちょっと多い時間帯もある中で、本来であれば高校生だとそのまま、プロの選手でもFWの方がやりやすい状況があった中で、佐相はコーナーキックや流れの中で自らFWのポジションをまたさらに奪いにいくという場面がありました。

本当にそういった部分で本人の覚悟というか、逆に言えばFWじゃないと自分の良いパフォーマンスが出せない、ある意味アピールができないという状況があったということも、後で確認したら話もしておりました。そういった意味ではプロになりたいという強い意志が、逆に言えばそこが本当に強くなければ絶対にやっていけない世界と私自身も思っております。

今後はかなり難しい世界の中でチャレンジをしていくことになります。そういった意味ではまだまだ足りない点もあります。良さはありますけど、まだまだ課題があります。その中で課題が伸びしろであるとも私自身も思っております。

佐相の動き出し、仕掛けのスピードの面などは本当に彼の良さだと思っています。ただこれからプレーの質を上げる、精度を上げる、かつプロの世界においても得点にこだわる、結果にこだわるというところを再フォーカスしてもらいながら、さらなる成長を続けて欲しいと私自身も思っております。昌平高校サッカー部としても昨年度からステージアップをした中で、こういった見てもらえる環境ができたと思っています。

また佐相自身も感じてくれていると思いますが、いろいろな方々に応援していただきながら、本当に地域の方々、本日杉戸町町長・古谷松雄さまにも来ていただいておりますが、地域の方々のバックアップがあってこういった場に立てているんだということに感謝をしながら、これからは自分の足で自分の人生を切り開くということになってくると思いますので、今後は叱咤激励、良くも悪くも見られることになると思いますので、ぜひ応援も合わせてお願いできればというように思っております。

佐相壱明選手

小さい頃からの大きな目標であったプロサッカー選手になることを、大宮アルディージャという歴史あるクラブで達成することができ大変うれしく思います。その反面少なからず不安もあります。その不安を自信に変えることができるよう、毎日の練習を一生懸命取り組んでいきたいと思います。そしていままで支えてくださった方々、大好きなサッカーを素晴らしい環境でできることに感謝し、自覚と責任を胸に大きく成長していけるよう頑張っていきます。応援よろしくお願いいたします。

質疑応答

ー西脇スカウトに。オファーに至るにあたり決め手となった試合はあったのでしょうか。

西脇スカウト:実は佐相くんを見るようになったのは今年の2月です。埼玉県リーグ、S1リーグで初めて見させてもらったんですけども、その時はゴール前で恐れずにプレーできる選手だなという印象がありました。やはり近年見ている中で、フリーでボールを受けようとするストライカーの選手が非常に多い中、自ら相手のディフェンスライン、ディフェンスの選手に寄って、そこから動き出すという選手はなかなか最近見ていないなと。

私も実は手前味噌なんですけども、3年ほど前まで育成の方で指導者の方をずっとやっていまして、そういった指導を続けてきた中でもこういったストライカーはちょっとなかなかいなかったので、少し継続して見ていこうと。まだその時はプレーに荒さなどもあったんですけども、見る度に特に動き出しの質、これはおそらくタイミングとよくみなさんおっしゃると思うんですけども、そのタイミングというのはなかなか教えられるものではないかなと。相手の嫌なタイミングで動き出すプレーですとか、相手の逆を取るプレーというのは指導者が教えてもなかなか教えられるものではないと思っていまして、その質が徐々に上がってきたなと。

そういったところがまず楽しみな一面といいますか、きっかけになりました。また、特にやはり練習参加してもらう中で、先ほど藤島監督からもお話がありましたけども、短時間の中で結果を出しなさいと。ストライカーである以上、やはり90分間出る保証はないです。短い時間、交代出場で出て結果を出していくことがプロとして生きていく道だと。特に3試合、4試合で数字を残せない選手はやはり次の選手にチャンスを与えられるという世界なので、そういう意味でもこの時間の中で結果を出せるかというところで、本人が結果を出したというところがひとつやはり大きなポイントだったのかなと思います。

あとはトレーニングの中でスプリントの能力ですね。スプリントの回数に関してもプロの選手と混じっても上位を占めていました。そういった秘めている能力、潜在能力からしても非常に楽しみな部分があったというところと、あとはひとつパーソナリティーですね。いま挨拶してもらいましたけれども、まだ初々しいといいますか、非常に緊張した中で話をしていましたけど、初めて僕と車の中で話をした時に非常にテキパキ自分の意見をはっきり伝えられる選手だなと。

なにより先ほど城川校長先生の方からも話がありましたけども、英検2級というところにちょっと惹かれまして。努力を惜しまないというか、そういったところですかね。やはりプロにいくといろいろな挫折があると思うんですけど、彼はこうやって努力を積み重ねて、悔しい想いをしながらいまの位置を勝ち取った選手だと思いますので、プロになって苦しい時間になってもそうやって立ち返る場所があるのかなと。そういった意味でも強く生きていける選手になるんじゃないのかなというところで、松本強化本部長の方に話をして見ていただいて、オファーさせていただくという形になりました。

ー佐相選手に。サッカーを始めた年齢ときっかけは?

佐相:サッカーを始めたのは小学1年生の頃です。その始めた理由としてはお兄ちゃんがサッカーをやっていて、それでずっと一緒に遊んだりしていて、そういうのでサッカーって楽しいなと思ってクラブチームに入りました。

ー大宮アルディージャのイメージ。昌平高校に入学するに至った経緯は?

佐相:大宮アルディージャは、テレビで試合もよく見ていて、もうJ1といったら大宮アルディージャみたいなことも思っていましたし、その大宮アルディージャからサッカーのオファーが来るということは夢のような感じでした。昌平高校に入学した理由は緑山サッカークラブ時代にお世話になっていた石田(聡)コーチに、自分が進路で悩んでいた時に昌平高校に来たらということを言われて、サッカーを見てみたら良いサッカーをしていて、自分もここで活躍をしたいと思い、昌平高校に入学を決めました。

ー1年時、2年時を振り返って。

佐相:1年生の頃にはスタメンで出してもらっていて、でもその頃の印象としては出させてもらっているだけで、点を取れないFWだなということを思っていましたし、正直自分でも点を取れるイメージというのがあまり湧かなかったので、1年時は出ていたという経験だけで終わってしまって少し悔しい部分もありました。去年はほとんど試合に出る機会がなくて、最後のプリンスリーグ参入戦の時に自分が決めればプリンスリーグに上がれたシーンを外してしまって。そういう最後の部分であったりが足りなかったので、点を取るFWにならなければいけないということをそこで強く感じました。

ーその経験を糧に3年生で飛躍を果たした。

佐相:最終学年ですし、自分を変えなければいけないということを感じました。一番力を入れたことはシュート練習です。シュートを打たなければ点は入らないですし、シュートがしっかりと枠に飛んでいかなければ入らないので、そういうシュート練習の部分を普段のトレーニングが終わった後、繰り返してやっていました。

ー新人戦、関東大会で優勝。期待されて迎えたインターハイでは挫折も味わった。

佐相:夏のインターハイではもちろん日本一を目指して戦ったんですけど、悔しい結果になりました。1点取った段階で勝てるだろうなという過信が少しありました。そういった過信がチームにマイナスの部分を招くということを再確認して、この経験を選手権に生かして次こそは日本一を目指してやっていきたいと思っています。

ー憧れや参考にしている選手は?

佐相:ずっと見ているのが大迫勇也選手(1.FCケルン)。大迫選手の張るプレーであったり、身体の使い方というのをよく見て学んでいて、最近は筑波大学の中野誠也選手(ジュビロ磐田内定)の相手の背後を取る動き出しであったり、そういうのをよく見て勉強しています。

ーいろいろな選択肢がある中で、プロを本格的に意識し始めたのはいつ?

佐相:去年、針谷選手、松本選手が出たということで、プロになりたいという気持ちがすごく強くなって、(今年は)新人戦、関東大会と取って、インターハイで結果を残せれば自分もプロに近づけるかなと思っていたんですけど、そこで結果を残せなくて、このまま大学に進むのかと思った時に(大宮アルディージャの練習に)呼んでいただいたので、やるしかないと思って自分のできる限りの力を発揮してやってやろうと思いました。

ー松本強化本部長に。練習参加の経緯について。

松本強化本部長:まず練習に参加してもらったのは8月の夏休み中になります。15日、16日と2日間練習の方に参加してもらいました。その後、先ほど話にもありましたが、大学というお話もありましたので、すぐ20日にうちのユースの練習があってそこに参加してもらいました。西脇の方からこういう選手がいると情報を得ながら、来季のこともしっかりと含めてオファーというところをさせていただきました。

練習参加してもらって練習試合など、その中で私も3度見させてもらいましたが、そこで結果を出したというところは非常にプロ向きではないかと思っております。

私も西脇の前に7年大宮でスカウトをさせてもらって、高校からうちに入ってもらうのは浦和レッズに移籍した青木拓矢(前橋育英高校)、それからいまも所属している清水慎太郎(西武台高校)に次いで3人目になります。ここ数年、大宮アルディージャとしてはアカデミーに力を入れながら昇格というふうになってきましたが、これは私自身の個人的な想いですが私も高体連出身ですので、W杯予選もありましたが先発11名中7名が高体連出身だというところ、これは何か各年代のところでやはり高体連の選手というのは何か。佐相くんも言っていましたが、大迫選手が気になるというところだったと思うのですが、そういうところもしっかり考えながらオファーをさせてもらったと思っております。

ー佐相選手に。練習試合に参加した際に自分はまだまだここが足りないなと思った点。逆にアルディージャというチームで自分はどのように強みを生かしていけると思ったか。

佐相:アルディージャの練習に参加して、まず一番に感じたのはトラップやパスの精度であったりという部分がまだ自分には欠けているなということを感じました。(逆に強みの部分では)自分のタイミングの良い裏への抜け出しでスペースを作ることで、周りの選手のプレーも生かせると思いましたし、何より自分はペナルティーエリアで仕事をする選手なのでそういう部分は還元できるかなと思いました。

ーまだ最後の選手権があるが、昌平高校での3年間で一番学んだことは?

佐相:自分のプレーに責任を持つということですかね。自分のミスで失点してしまったり、自分の得点でチームが勝てたり、そういう勝負の際(きわ)の部分といいますか、そういうことを学んだかと思っています。

古谷松雄・杉戸町町長

まずは佐相くん、大宮アルディージャ内定おめでとうございます。心よりお祝い申し上げたいと思います。また、監督、コーチにおきましても、3人目のプロ選手輩出おめでとうございます。こうなると毎年期待したいと思っています。自分は夢を見るのが大好きなんですよ。この間W杯も決まったじゃないですか。そこへ、松本くんと針谷くんと佐相くんの3人が出たら素晴らしいと思う。いまは昌平の佐相、今度は大宮の佐相、そして日本の佐相と段階を踏んで先輩の2人と一緒に出てもらうのが夢。最後の大会、ぜひ選手権を勝っていただいて日本中に杉戸昌平高校という名前をアピールしていただきたいと思います。ぜひ頑張ってください。本当におめでとうございます。

記者会見後

ー改めて記者会見を終えて。

試合より全然緊張しました(笑)。自分が何を言っているかわからなかったですね。

ー練習試合で結果を残して内定を勝ち取ったが、実際にプロに行くとしたらそこで決めるしかないという感じだった?

そうですね。そこで結果を残さなかったらプロへの道はないということはわかっていたので。前半から調子が悪くて、またダメなのかと思った時に、でもここでやらなかったら絶対に後悔すると思って、もう意地を見せてやろうと思ってやりきりました。

ー呼ばれたのはインターハイが終わってから?

そうです。15日、16日で呼ばれてそこで初めて参加して。(インターハイも悔しい結果に終わったので呼んでもらった時は)もうびっくりしました。

ー練習参加も2日間だと相当限られた部分しか出せないと思うが。

自分的に2日間しかないという気持ちは全然なくて。2日間あれば自分の持ち味を出せるなと思っていたので、もう別に2日間やってやろうと思っていました。(練習では)ゴール前での動き出しであったり、もちろん点を取ることが自分の最大のアピールだと思っていたので、そこを出せたので結構楽しかったです。

ー練習試合でポジションを入れ替わった際に左のハーフは誰が?

清水慎太郎選手ですね。それで自分がサイドハーフになってしまって。でも自分の持ち味を出せるのはFWだということは自分でもわかっていたので、ここはFWをやらないとダメだと思って自分でポジションを。奪い返しにいったというより、ボールに絡んでいったらFWになっていたという印象ですね。

ー出場時間的には?

前半の残り15分と後半の45分ですね。前半は右サイドハーフで全然ダメで、後半は頭からワントップで使ってもらえて、最終的にはサイドハーフになったんですけど、そこで結果を残せたので結果的に良かったかなと思っています。

ー得点、アシストはどのタイミングで?

サイドハーフからFWに戻った時に1点で、その後にサイドハーフに戻されてそこで1得点、1アシストだったかなと思います。もう本当にそこしかなかったので、人生をかけていました。遠慮している場合じゃないと。

ープリンスリーグ参入戦で悔しい想いをした後、シュート練習はどれくらいやっていた?

数えてないですけど、とりあえずシュートを打ってました。土曜日とか午前中に終わったりして午後が暇な時はもう、練習が終わってそこからキーパーがいなくてもとりあえずサイドネットに打ち込む練習はしていました。

ー目に見えて変わったと感じたのはどのタイミング?

新人戦の前あたりから自分のプレースタイルというのをわかって、自分の点の取り方というのもわかったので、これはいけるかなと思ってそれで。

ー逆に振り返ると変わる前の自分はどんな感じだった?

がむしゃらに走って、あわよくば点を取るみたいなイメージでした。でももうそれだけじゃ本当に9番は背負っていけないと思ったので、意識を変えて心を鬼にして練習しました。

ー1点のこだわりが強くなった?

はい。点へのこだわりが強くなりました。チャンスを全部決め切るというところですね。FWは1点決めて勝てばヒーローだと思っているのでその1点を。チャンスは1回しかないかもしれないので、その1回のチャンスを逃さないようにいま練習しています。

ーチャンスを生かすために工夫をする中でこれがうまくいったというものは?

いままで自分は張るプレーから反転というゴールが多かったんですけど、それをプロでやろうとした時にやっぱり相手の選手が強かったのでそれだけじゃあ生きていけないと思って。相手の背後、相手のラインを取る動きっていうのを練習していて、それがこの前のS1リーグで原田(虹輝)くんからのスルーパスで綺麗にDFと入れ替わって、自分の理想とするゴールが取れたので、そこが成長した部分だなと思っています。

ー得意の背負ってのプレーはいつくらいから意識している?

去年は背負ってのプレーというのは自分で意識していなくて。プリンス参入戦くらいですかね。ちょっとずつ自分は収めてからの方が、背負ってからの方がうまくいくんじゃないかということを感じて。それを新人戦、関東大会、インターハイで出せたので、そこは売りにできるなと思っていました。(それまでは)走って走ってみたいな感じでしたね。

ー反転からのシュートは大きな武器。

一番自分の中で反転がうまくいったなというのは(インターハイの)埼玉県予選決勝の浦和西戦の(自身)2点目。関根(浩平)からのボールを背中で張って収めて、そこから反転して決めたのが本当に自分の理想の形で。そこは自信にもなっています。

ーちなみに英語はいつから勉強している?

英語はお父さんから英語だけはやっておけと言われていて。英語はずっとじゃないですけどやらないといけないなと思った時にやるようにはしていて、それで英検2級を取ったらもう文句言われないだろうと思って(笑)。

ー内定を知らされた時の気持ち。

なんか自分の話じゃないような気がして。プロになった感が全然なかったです。

ー実感が湧いてきたのは?

いまですね。

ー内定はどこで知らされた?

8月20日の練習試合が終わって、その後にちょっと待っててと言われて、親と待っていたらオファーをくれて。(場所としては)大宮アルディージャのクラブハウスの前です。

ー同世代の選手で意識する選手はいる?

中村駿太選手(青森山田高校→モンテディオ山形内定)ですね。中村選手は同じストライカータイプだと思っているので、負けたくないなという気持ちはあります。

ー昌平に来た時持っていた目標は?

来た頃はもちろんプロにはなりたいなとは思っていたんですけど、まずは1年生の時にしっかり試合に出ること。そういう積み重ねが大事だと思っていたので、まずはトップチームで試合に出ることを目標にしてやってきました。

ー昨年の2人がプロに行っていなかったら、そういった意識は持てていなかった?

持てないですね、本当に。2人が出たことによって、プロがすごい身近に感じたので、そのおかげでプロになってやるっていう強い意識が出てきましたね。

ープロでやっていくにあたって残り半年で何を一番磨きたい?

ゴール前での落ち着きという部分ですね。もっと落ち着けるようにならないと、この前もS1リーグで、左足に自信が持てれば、右足で打たずに左足でトラップできればフリーだったのに、その左足に自信がないために右足で打って外してしまったので。裏抜けの部分と左足とヘディングをいま頑張っています。

ープロの練習に参加してこれはすごいと感じたプレー。

練習の時に大前(元紀)選手がハイボールをピタッと足で止めて、キーパーと一対一になって、キーパーを欺くようにチョンとループで決めたので、そこは本当にプロだなと思いました。

ー練習参加でここはもっと高めていかないといけないなと感じた点。

本当に張るプレーだけじゃ生きていけないので、相手の隙を見て相手の背後を取る動き出しであったり、あとは左足ですね。左足のシュートは(これまで)特に意識していなかったので、それは本当にいまから打ち込まないと間に合わないなと思っています。

ー実際にプロのDFと対峙してみて。

とても強かったです。いつもみたいに張るプレーをしたらボーンと飛ばされたので、そこはもっと受けるタイミングとかを工夫しないといけないかなと思っています。

ーいよいよ選手権県予選が始まる。去年は針谷くん、松本くんがいても選手権予選は勝てなかった。今年も当然マークもされる中での大会になるかと思うが。

最後の大会なので、みんなかける想いが違うと思いますし、その中でも俺たちは勝たないといけないと思っているので、本当にこの高校3年間の集大成として、しっかり地に足をつけて戦っていきたいと思っています。

ー改めてこれからプロサッカー選手として歩んでいく決意をお願いします。

本当に厳しい世界だと思っているので、そういう厳しさに負けずに自分の良さを出しつつ点の取れるFWになって、まずは試合に出られるようにしっかりやっていきたいです。

石黒登(取材・文)

佐相壱明(さそう かずあき)プロフィール

生年月日:1999.6.16
身長:174cm
体重:65kg
所属:(小)緑山SC→(中)緑山SC→(高)昌平高校
ポジション:FW
主な実績:H27 関東プリンスリーグ出場
H28 全国高校総体サッカー大会 第3位
H29 関東高校サッカー大会 優勝
※大会優秀選手選出
全国高校総体サッカー大会出場