さいたまサッカークラブ

サイタマ サッカークラブ

活動拠点高校、大学のグラウンド
練習日火曜日、水曜日(19時から21時)、土曜日(7時から1時間程度)※火曜日はフィジカル練習
HPアドレスhttp://www.saitama-sc.net

オールドファンの方々には「埼玉県教員サッカークラブ」と言った方がわかりやすいのかもしれない。現在関東サッカーリーグ1部に所属する社会人チーム・さいたまサッカークラブは、1953年に国民体育大会のために結成された教員クラブを前身に持つチームだ。

これまで国体・教員の部を9度、関東リーグも4度制覇。過去には浦和市立南高校(現在の浦和南高校)を3冠に導いた名将・松本暁司氏や現在同校の指揮をとる野崎正治監督、武南高校の大山照人監督など県内の著名な指導者たちも多く在籍した。2000年にはそれまでの教員だけでなく、一般にも幅広く門戸を広げる意味合いも込めて名称を埼玉サッカークラブに変更。2008年にはホームタウンをさいたま市に設定し、現在のさいたまSCとなった。また2014年にはNPO法人化も果たし、目標であるJFL昇格に向けて活動を続けている。

荒川裕治理事長

時代を経て名称は変わったが、根底に流れる血の部分は変わらない。「OBの方々が連綿と築いてきた考え方や、一生懸命に、真面目にやるといったところはすべて継承している」というのは2016年から現職につく荒川裕治理事長。現在10名弱いるコーチングスタッフはほとんどがクラブのOBだそうで、そういったところでも血は脈々と受け継がれている。

秋山健二監督

今年で就任17年目を迎えた秋山健二監督も現役時代は教員クラブでプレー。「何事にも真面目。汚いファールは絶対にしない。おそらく他のどのチームに聞いてもうちが一番クリーンだと言ってくれると思う」(秋山監督)。そのスタイルは昔から一貫して同じだそう。

浦和レッズ、大宮アルディージャに続く、埼玉第3のクラブ。そんなクラブが担おうとしているのは「受け皿でありブリッジ」の役割だ。「サッカーが肥沃な埼玉に生まれ育ちながら、いろいろな人に応援してもらっているのに、いざとなった時に埼玉を離れなければいけない。それは残念なこと。プロの世界はレッズさん、アルディージャさんにお任せしますが、我々はアマチュアとして日本一を目指す」と荒川理事長。他県への才能の流出も叫ばれる中で、さいたまSCがそのつなぎ役になれればという。

地元で生まれ育った子供たちがそこでプロになる、またプロになれないとしてもその土地でサッカーを続けていける。それはプレーヤーにとってもそれを応援する人たちにとっても幸せなことだ。さらにレッズやアルディージャでプレーした選手たちがもう一度埼玉で目標を持ってプレーすること、アマチュアの最高峰・JFL昇格となればまたその逆もありうるかもしれない。同クラブがJFLに上がるということは埼玉サッカー界全体を見ても大きな意味を持つ。

今年のひとつの目標だった全国社会人サッカー選手権大会は関東予選2回戦で敗退となったが、約1ヶ月ぶりのリーグ再開戦となった25日のエリースFC東京戦では3ー0で快勝して良いリスタートを切った。悲願の JFL昇格を目指し、後半戦での巻き返しに期待がかかる。

石黒登(取材・文)