西武台DF森田雅宗、逆転V引き寄せる貴重な追撃弾!声や戦う姿勢でも成長見せたゲーム主将が3rdリーグMVPに

「こっちに何か言われても、そこから逃げずに1年間やってきて、怪我も少なかったですし、年間を通していろいろなことを継続してくれた。最初はあんなに喋ったりとか、チームのために戦ったりできなかったと思うので、そこはすごく大きく成長したなと思う」(美川笙乃コーチ)

12月10日に幕を閉じた埼玉県3rdチャレンジリーグ2023。最終盤までもつれた第4回大会のMVPには初優勝を果たした西武台のゲームキャプテン、DF森田雅宗(3年)が選ばれた。

勝てば優勝が決まる最終節。「優勝したい想いも強かったんですけど、やっぱりもう緊張がすごくて…」。早々に2点を先行される考え得る限りで最悪に近いスタートに「めちゃくちゃビビりました。もう足が固まってて」と話すが、チームに勇気を与えたのはゲーム主将の一撃だった。

20分、MF宮田雄清(3年)の左コーナーキックからの混戦を森田が左足で流し込んだ。「ニアで(向井隆人が)うまく潰れてくれて、逸れてきたボールがたまたま足に当たった感じ」としながら「でも、それも運があったからかなと思います」。今季は美川コーチのもと、サッカー以外の生活面の部分でもぶらさないことをチームとして大切に行ってきた。森田も「それがすべて」と話すように、そういったひとつひとつの行動が運を手繰り寄せた側面はあったかもしれない。

この1点をきっかけにさらに力強く攻め立てた西武台は、前半のうちにさらに1点を加えて同点に追いつくと、後半は1年を通して練習してきたサイド攻撃から相手ゴールに迫り、その形から勝ち越しに成功。守備面でも森田、星野維吹(3年)のCBコンビを中心にしっかりと跳ね返し続け、逆転での初優勝を飾った。「優勝した時の気持ちが強くて、あんまりゲームの内容は覚えてなかったんですけど、やっぱり本当に優勝できて嬉しかったです」とその瞬間を振り返った。

今季はゲームキャプテンという重要なポストを与えられた中で「最初やった時は全然ダメだったんですけど、ちょっとずつここ2、3試合でなんかリーダー的なものがちょっとずつ自分の中に出てきたのかなと」。当初はなかなか声も出せなかったというが、試合中の声かけや最後まで切らさずにやるのを意識しつつ戦う姿勢でも体現できるように。美川コーチとはぶつかることも多かったというが、逃げずに向き合い、「僕も美川さんのことを知ったり、美川さんも僕のことを少しずつ理解してくれて、すりあわせをしていく中ですごく良くなっていった」と話す。

試合後には応援に駆けつけてくれた両親と一緒に笑顔で写真に収まった。「毎日朝から弁当だったり、洗濯もしてもらったりして、こういう形で最後(両親の前で)結果を残せたのは嬉しい。(これまで支えてもらった分、)今度は自分が何か親にやってあげたいですね」と感謝を語った。

石黒登(取材・文)