プロ内定4人を含む最強世代。「昌平らしい楽しいサッカー」で初の全国制覇へ


いよいよ明日31日に「第99回全国高校サッカー選手権大会」が開幕を迎える。今年は埼玉県代表として昌平高校が2年連続4度目の出場でチームの悲願である「日本一」を目指す。

今大会は堂々優勝候補の一角として選手権に臨む。昨年は技術に「予測と判断」を加えたサッカーで大会に旋風を巻き起こした。初戦となった2回戦で興國を倒すと、3回戦では國學院久我山をアディショナルタイムの劇的ゴールで退けてベスト8に勝ち進んだ。準々決勝の青森山田戦は前半に3点を取られた中で後半2点を取り返し、高円宮杯王者を焦らせたのは記憶に新しい。

今年はその中軸を担ったMF須藤直輝とMF小川優介が鹿島アントラーズに、FW小見洋太がアルビレックス新潟に、MF柴圭汰が福島ユナイテッドFCと4人が揃ってプロに内定。さらに先日のU-18日本代表候補合宿には須藤、小川(小川はその後負傷により辞退)に加え、左サイドバックの小澤亮太も選出を受けるなど、まさに最強世代というのにふさわしい陣容が整った。

例年のショートパスを繋ぐスタイルに加え、小見の抜け出しを狙う形、サイドバックの果敢な攻撃参加など、多彩なアタックが武器。またセットプレーから得点できるというのも今年の強みだ。

予選では「昌平らしい楽しいサッカー」を標榜した中で相手チームにさまざまな対策を採られながら最終的に2年連続の優勝を果たしたものの、それを100%体現できたというわけではなかった。「全国大会ではもっと昌平らしい楽しいサッカーをしていきたい」と主将の須藤直輝。その“らしさ”を発揮することができれば、埼玉勢39年ぶりの選手権制覇も夢ではないはずだ。

U-18代表候補にも初招集。超攻撃的SB小澤亮太が全国の舞台でも左サイドを制圧するか

プロ入り4人に視線が集まるが、「今年はサイドバックが売り」と1年を通して藤島崇之監督が話していたように両サイドバックも高レベルだ。注目選手には左SBの小澤亮太を挙げたい。

一番の武器はその「推進力」。「縦への推進力やスピード、右利きなのでカットインからのシュートもある」。予選ではその能力を遺憾なく発揮。準々決勝の武南戦、準決勝の正智深谷戦では鋭いカットインからPKを奪取するなど、まさにファールでしか止められないといった具合だった。またセットプレー時のヘディングもあり、膠着した場面では得点にも期待したいところ。

そのプレーぶりが評価され、先日はU-18日本代表候補合宿にも初招集された。小澤が左サイドでどれだけ高い位置を取れるかはひとつ今大会、昌平の攻撃のバロメーターとなってきそうだ。

石黒登(取材・文)