激戦区も失点は6試合を通じてわずか“1”「守備の昌平と言われるように」DF柳澤直成
どうしても攻撃ばかりに目がいってしまうが、このゲームでいうところのボスラッシュとも言えるような激戦区を6戦を通じて失点わずか“1”で凌いだディフェンス陣も十分に語られるべきだろう。その中心として柳澤直成は、相方の西澤寧晟とともにゴール前に固い壁を築いた。
決勝も立ち上がりこそ意思伝達がうまくいかずファーストシュートまで持っていかれたが、「徐々に修正していって後半は相手が裏に抜けるタイミングでスッとラインを落としてしっかり対応できたので、その辺の守備の修正は良かったんじゃないかなと思います」。相手のスピードある攻撃に対して裏取りを許さず。逆に高い位置で跳ね返して連続攻撃の起点にもなった。
名は体を表すというが、「直成」という名に違わぬ実直な選手。指揮官も「責任感が強くて、真面目。すごく一生懸命やるし、ちょっと固いくらい(笑)」と以前柳澤について話していた。関東、インターハイ予選は試合に出ることはできなかった中で「ベンチから見る中でどこを修正すればいいとか、第三者の視点を持って試合を見ていました」。インハイ後からレギュラーポジションを獲得。外で見て学んだことを伝えながら、自らもレベルアップを図ってきた。
そういった中で迎えた今大会は守備陣にとっても「この1年の成長を示せ」とばかりの組み合わせになった。2回戦の浦和南戦は先に失点する苦しい展開の中、アディショナルタイムの柳澤弾で劇的逆転勝利を飾った。その後も一戦一戦勝ち進むごとに成長を実感しながら武南、正智深谷、聖望学園、西武台を次々と零封し、大会前にあった守備への懐疑的な声を黙らせた。
「『攻撃の昌平』って言われてますけど、全国に進んで『守備の昌平』って言われるくらい、やっぱり自信をつけて頑張りたいですね」と柳澤。翌日の抽選会では1回戦で今年もJリーガー2人を擁し、注目FW樺山諒乃介、U-17日本代表FW杉山力斗ら強烈な攻撃陣がいる興國と対戦することが決定。さらに同じ山には國學院久我山、神村学園、青森山田と強豪校が並んでおり、ここをくぐり抜けることができれば自ずと「守備の昌平」という称号を手に入れているはずだ。
石黒登(取材・文)