決勝は2ゴールに絡む活躍 須藤直輝が憧れのヒーローたちが立った選手権の舞台へ!

須藤直輝がついに憧れの「選手権」の舞台に立つ。

1ー0で迎えた後半10分、柴圭汰に縦パスが入ると「柴はもう見えているのがわかったのであそこに走れば来るだろうなと思った。シュートが全体的に少ないと思っていたので、ここで1回入っても入らなくても振り切ればチームに流れが来るんじゃないかと思いました」と右足を一閃。低く、強く打ち出された弾丸シュートは一度キーパーの手に収まったかのように見えたが、勢いは止まらずそのままゴールに吸い込まれた。21分には「意図はしていなかった」というものの、積極的な仕掛けからのクロスがオウンゴールを誘うなど、この日は2点に絡んだ。

準々決勝では小見洋太が4ゴール、準決勝では紫藤峻が2ゴールを決める活躍を見せる中で「仲間なんですけど、やっぱり自分が10番なのに役目を果たせないというのが悔しかった。その悔しい気持ちが実ったんじゃないかと思います」。昨年は「人生で一番悔しかった瞬間」を経験した決勝でトロフィを掲げた瞬間については「上から見た景色はすごく嬉しかった。自分が見たい景色だったんですけど、まだここが終着点ではないと思っているので、ここがまた通過点だと思ってやっていきたい」と早くも次のステージに向け、気を引き締めていた。

これで憧れの舞台に立つ機会を得た。大宮アルディージャジュニアユースから昇格の道もあった中で昌平を選んだのは高校サッカーへの憧れ、そして選手権に対する熱い想いがあったからこそ。その想いは当初から口にしてきた。小学校1年生から父とともに選手権に足繁く通った高校サッカーフリーク。入学最初のインタビューでは憧れた選手に、2011年大会で滝川第二を初優勝に導いた2トップ「ダブル・ブルドーザー」こと、浜口孝太と樋口寛規を挙げていた。

そんな選手権ヒーローたちが数々の名勝負を繰り広げたてきた「選手権」に今度は自分が立つ。「今日も(表彰式で階段を)登る時に「須藤選手!」って言ってくれて。自分も高校サッカーから夢をもらったというか、そういう立場にいた人間だったので、そういう子たちがまた成長した時に自分もそうだったなとか、ここで活躍する選手が出てきてほしい。だからもっともっと憧れられる選手になっていきたいなと思っています」。常々話している「サッカーは楽しいもの」を選手権の舞台で体現して、今度は自分が子供たちに夢を与えられる存在となる。

石黒登(取材・文)