[女子選手権]「緊張よりもワクワク」。昌平の170cmFW西脇優が初の全国のピッチで“恩返し”のスーパーゴール

“夢の舞台”で思い描いてきた一撃だった。2-0のHT明けからピッチに立った昌平FW西脇優(3年)は、56分に自らの全国初出場で強烈なミドル弾を突き刺し、チームに勢いを加えた。

「松井が相手からするとやっぱり怖いので、おとりにして、自分がやっぱり決めてやろうっていう気持ちが強くて。もう入った瞬間は『あれ、入ったの?』みたいな。びっくりしました(笑)」

MF小室瑠花(3年)からパスを受けて前を向くと、DFがFW松井美優(3年)に喰いついた隙を見逃さずドリブルで運び出し右足一閃。「自分はシュートをよく外す選手なんですけど」と笑ったが、この日はゴール右隅の“ここしかない”コースを通すゴラッソでチーム3点目を決めた。

昨年はベンチ入りするも出場なし。ようやく足を踏み入れた全国のピッチは「なんかもう緊張よりもワクワクが勝って」。また、荷物を運んだり、準備をしてくれたり、応援してくれたりとサポートしてくれるメンバーや両親に、ピッチで恩返ししたいという想いがずっとあったという。

その中での最高の舞台でのゴールに「もう嬉しすぎて。やっと自分が思うような選手権というか、夢の舞台に立てて、いままでの感謝の気持ちをプレーで見せることができたかなと」と喜んだ。

岐阜県の翼SCレインボー垂井(U-15)の出身。「昌平は上下関係がなく、とても良いチームで。ほかのチームも行ったんですけど、そこに自分は惹かれて。発言もできるし、サッカー外でもサッカー内でもとても仲の良いチームでそこに惹かれました。あとはプレースタイルも好きなので選びました」。そしてこのチームで本気で全国を目指したいと思い、昌平への入学を決断した。

「自分はポストプレーが得意なので、そこから起点になってシュートまで行くところとか、松井が収めてくれるので、それを自分が受けて今日みたいなシュートもできたらいいなと思います」

170cmの長身と懐の深さを生かしたポストワークは武器。今大会はWEリーグ仙台内定の松井が警戒を受ける中で、前線でもう1つポイントを作れることはチームにとって大きなプラスだ。「まだまだ自分の中ではできていない部分も多いので、それを改善して、松井の良いサポートにもなれたらいいですし、ほかの人を生かせるようなプレーヤーになっていけたらと思います」。

石黒登(取材・文)