[女子選手権]昨年は35分で交代、突きつけられた実力不足…、昌平DF勝山あゆみは「忘れ物を取り返す」大会で初勝利もたらす決勝ゴール

この1年の想いが、振り抜いた右足に乗った。昌平は1回戦で京都精華(京都)を3-1で下し、2度目の挑戦で待望の全国大会初勝利。前半7分、こぼれ球に反応したDF勝山あゆみ(3年)が右足を一閃。これが結果的に決勝点となり、昌平に初めての“全国での白星”をもたらした。

「自分が得点を決めて、チームを勝たせることができてすごく嬉しい。最終学年として1、2年生をここまでプレーで引っ張ってこられて、その中で自分が決めてチームが勝てたのは最高です」

クロスのこぼれ球をうまくトラップでコントロールすると迷いなく振り抜いた一撃がゴールに吸い込まれた。「ゴール前でボールを受けたら絶対シュートを打とうって決めてて。いままで応援してくださった人にゴールで感謝の気持ちを伝えられたかなって思います」と笑みを浮かべた。

昨年、初出場の舞台で感じたのは無力感だった。35分で交代となり、その瞬間に突きつけられた“実力不足”。「去年はすごく緊張してしまって、自信を持てなかった。今年は最後だし、自信を持ってプレーしようって考えてきた」。その悔しさが、今大会に向けての原動力となってきた。

プレー面でも大きな変化がある。本来は前線でドリブルから仕掛けるタイプだが、選手権直前にサイドバックへコンバート。「最初は前でやりたかった。でもチームのためにって考えられるようになった」。ポジションは1列下がったが、その中でも攻撃性や、この日の決勝ゴールのような、いざという時に得点できるシュートセンスは生きている。「自分の中でも守備をしっかりして、その中でも攻撃的なサイドバックになっていきたいなって思っています」と理想像を語った。

「去年終わった瞬間にやっぱり自分の実力不足を痛感して、もう自分の代になった時は絶対に去年の忘れ物を取り返して、1勝でも多くこのチームにしたいと思った。高校サッカー最後なので、この大会で1勝でも多く自分がチームを勝たせられるようにして、このメンバーで日本一を取りたいです」。昨年からの成長を見せ、初勝利をもたらした決勝ゴールはその第一歩となった。

石黒登(取材・文)