[選手権]15本被弾も揺らがず…昌平GK小野寺太郎が再び県決勝で完封。“家族への恩返し”胸に国立を目指す

夏に続き、県決勝の大舞台で輝いた。昌平は武南に倍の15本のシュートを打たれるも守護神の小野寺太郎(3年)が好守を連発。DF伊藤隆寛(3年)主将も「太郎が頑張ってめちゃめちゃ止めてくれた。本当に頼りになるキーパーです」というパフォーマンスで全国出場に貢献した。
「自分は夏のインターハイで悔しい想いをして、そこからここまで、ここに向けてしっかり練習してきたので。ビッグセーブして嬉しいっていうよりかは自分が練習してきたことが出せたかなっていう達成感、喜びというよりかは自分の仕事をまっとうしたかなっていう気持ちです」
立ち上がりから圧力をかけてきた武南に対し、昌平はなかなかいつものようなサッカーをさせてもらえずに苦戦を強いられる。その中で「前が点を決められなくて停滞してたので、これで失点したら、これ絶対負けちゃうなって。何がなんでも俺が守って、ペースを作らせてあげようっていう、そういう気持ちでした」という小野寺は37分、相手の決定機に勇気を持って前に出てビッグセーブ。39分にも抜け出されたが、ここもタイミング良く飛び出し身体に当てて防いだ。

後半も「もう決めさせないぞ、の一点でしたね。“決めてみろ”みたいな」と強い気持ちを持って臨むと、13分には相手10番がカットインから放った鋭いグラウンダー性のシュートをしっかりとキャッチ。もう1人も詰めており、「多分、弾いていたら決められていた。こぼさなかったのは自分でもちょっとびっくりしてます」と、自分の中でも満足度の高いセーブに挙げていた。
決勝は「大事な人」の文字だという一文字を左手に、右手にはこちらも大事な人にまつわるナンバーで自分の背番号でもある「特別な数字」と話す『16』をテーピングの上から書き込んでプレー。「もうなんか感じます」とそこからもパワーをもらっていたという守護神は、夏の総体予選・西武台戦に続き、苦しいゲームとなったファイナルで最後まで昌平のゴールネットを揺らせず。無失点で耐え抜いたことが、後半ATのMF長璃喜(3年)の劇的決勝ゴールに繋がった。
選手権では「昌平がまだ達成できていないベスト4に行くこと」。そのうえで「そこに満足せず、自分はやっぱり国立で優勝したいなって思っているので」とした小野寺は、「国立で優勝することが自分は家族への恩返しだと思っていて、それだけが恩返しになると思っている。選手権に出るっていうのも1つの目標だったんですけど、そこで勝つっていうのが自分の夢です」。遠く青森から送り出してくれた家族に“恩返し”するべく、残り期間でも成長し国立で勝利を届ける。
石黒登(取材・文)


