[選手権]昌平MF長璃喜、後半ATに劇的な決勝ゴール!怪我、重圧を乗り越えて、注目アタッカーが再び冬の全国へ

怪我や重圧を乗り越え、昌平を2大会ぶりの全国に導いた。武南との決勝は0-0のまま後半ATに突入した中で、昌平のU-18日本代表MF長璃喜(3年)は40+2分、DF古川雄規(2年)からのパスを受けると、ドリブルで一気に縦に持ちだし、左足でゴールネットを揺らした。
この日も果敢に仕掛けながら最多4本のシュートを放っていた中で「自分が外してしまったり、決定機を潰してしまったりしていたので、ボール持った瞬間に自分で行こうと思った」と話す。
ゴールに向けての伏線はあった。「その前のプレーでカットインが読まれて、押し出された時に「これカットイン無理だな」と思って、縦に行こうと。1回カットインを前のプレーでしたので、相手の印象的にカットインあるなみたいな感じだったので」と、中を警戒させて縦に仕掛ける。
すでに80分を超え、体力的にも相当厳しかったはずだが、「応援してくれる人がいる中で、きついっていうのはなかった。応援の声が背中を押してくれた」と話す。シュートは大会前に負傷した左足で、練習でも満足に蹴れていなかったというが、「強く打つよりコースを狙った。これまでやってきたことが出せた」。これまで何千、何万と振ってきた左足を自信を持って振り抜いた。
ゴール後はユニフォームを脱ぎ捨て、喜びを爆発させながら、ピッチ横で見守っていた仲間たちのもとへ。歓喜の輪に呑み込まれた瞬間を「めっちゃ嬉しかったです。幸せでした」と振り返る。

イエローカードをもらったのはご愛敬だったが、それもそれだけの感情が溢れたということ。「正直、この3週間はまったく楽しめなかったです」と長。今大会は準々決勝、準決勝と2試合連続で先行を許し、延長戦にもつれ込んだ中で「負けたら引退」という言葉が脳裏に浮かび上がることも。また、「出させてもらっている以上、やっぱり勝たないとっていうのは自分の中であったので」と重圧や責任感を感じながらプレーしていた中でそれが解き放たれた瞬間だった。
前述の通り、大会前には練習中に左足首を負傷。「怪我した瞬間は『マジ終わった』と思ったんですけど、みんなのプレミアを戦う姿だったり、練習の姿を見ると、やっぱり頑張ろうと思えるし、みんなからも「選手権は頼むよ」とか言われてたので、選手権に向けて、万全な状態ではなかったですけど、毎日コツコツやってきたことが結果に結びついたかなと思います」と振り返る。
昨年の県予選は決定機を決めきれず、ベスト8で涙。「1つのプレーで勝ち負けが変わっちゃうっていうのを感じたので、そこはこだわってやってきた」という長は、復帰戦となった浦和学院戦で1得点を決めると、成徳深谷戦は途中出場から流れを引き寄せるプレー。そして決勝ではチームを2年ぶりの全国に導くゴールと、この1年の成長を感じさせるパフォーマンスを見せた。
夏に続いての全国に長は「やっぱりインターハイで大津にぼろ負けした時からみんなで頑張ってきたので。またあの場所に戻ることができて嬉しいです」。2年前の選手権はルーキーながら3得点を挙げ、一躍名を上げたが、「このチームで1試合でも多く試合したいので、勝つっていうことを重視して、個人というよりかはチームで勝って1試合でも多く試合がしたいです」。最高の仲間たちと1日でも長い冬を過ごすために、2度目の選手権でもチームのために躍動する。
石黒登(取材・文)


