[選手権]武南MF平野琉斗、頼れる主将が父の前で決勝ヘッド!19年ぶりの冬の全国目指すファイナルへ「絶対に優勝します」

頼れる主将が武南を14年ぶりファイナルに導いた。MF平野琉斗(3年)は2-2の後半35分、DF田中理月(3年)の浮き球のボールに抜け出すと、ヘディングで鮮やかにネットを揺らした。
「裏抜けする前に理月と目が合って。多分ここに抜け出したら、絶対良いボールが来るなと思った。あとは本当に合わせるだけっていうか、良いコースに当てるだけだなっていう感じでした」
田中にボールが入ると、あうんの呼吸で相手CBの裏にパスを要求。「相手CBの裏は前半からあそこに出たら、あんまり対応できていなかった部分もあったと思うので、そこはうまくできたのかなと思います」。守備陣の目がボールに集まる中で裏から抜け出すと、後ろからのボールで決して簡単ではなかったが、しっかりと身体を捻りながら流し込んだゴールが決勝弾となった。
「なんか頭の中ちょっと真っ白になって、喜びもあったんですけど、ほんとに決めたんだっていう驚きの方が強くて」というゴールは、父母会の代表として撮影に入っている父の眼前でのゴール。「ああやって写真を撮ったりしてくれるのでありがたいと思ってるし、そういうところで還元できたらなっていうのは本当に思います」と照れながら語る姿からも家族への感謝が溢れた。
主将を務める今年は、前半戦は途中出場が多くなるなど、苦しい時期も経験した中で「出た試合で全力でやること」と徹底し、関東本大会の準決勝から定位置を奪取。「途中から試合に絡むようになって、自分もチームのために守備から貢献しなきゃなっていうところでは、人としても、選手としても成長できた」という主将は次戦の昌平との決勝を「集大成」と位置づけ、「そこで自分の成長してきた部分をうまく出せたらなと思います」と武南での3年間をぶつける構えだ。
この日は決勝ゴールを決めたものの、「自分のプレー的にはあまり良くはなかった。得点できたから良かったとは思うんですけど、厳しく言うなら、本当に全然まだできてないのかなっていうのが、自分は悔しい」。前を向ける場面でロストするシーンや、自信のなさからボールを受けに行く回数が少なかったことを反省。昌平戦ではMF小山一絆(2年)としっかりとコミュニケーションを取りながら「自分の中でも100点のプレーが出せるように頑張りたいです」と誓った。
「本当に優勝するために自分たちも頑張ってきたんで。次絶対に勝って優勝します」。19年ぶりの選手権本大会出場まで、あと1勝。成長したキャプテンが、武南を全国の舞台へと連れて行く。
石黒登(取材・文)


