[選手権]細田学園FW小野寺快斗、小柄な2年生アタッカーが歴史を動かす。自主練で磨いた“逆足”の左で駒場を沸かす決勝弾

2年生アタッカーが歴史を動かした。細田学園は後半16分に1-1に追いつくと20分、右WB小野寺快斗が値千金の勝ち越しゴール。そしてこれがチームを初の4強に導く決勝弾となった。

MF中村圭佑(3年)のフィードに斜めのランニングで走り出してエリア内に潜り込むと、「右足で最初打とうとしたんですけど、左から相手が来てたのが見えたので右だと引っかかるかなと思った」という小野寺は、さらに相手DFを外し、左足で逆サイドネットに流し込んでみせた。

本来は右足が利き足だが、“逆足”の左足でのカットインシュートはサイドプレーヤーとしてさらに相手にとって怖い選手となるためにチャレンジしていた部分で、「いつも須佐響くんとか、何人かと練習の後に自主練していたので、その成果が上手く出たのかなって思います」と胸を張る。

過去先輩たちが5度挑戦し、いずれも跳ね返された壁を突破するゴールを決めた2年生は「ずっとベスト8で止まってしまってて。その壁を自分たちで破れたっていうのはとても嬉しいですし、強化指定部なんですけど、その部分でも学校に貢献できたかなと思います」と笑顔を見せた。

157cmと小柄だが、抜群のスピードを生かした抜け出しや1対1の仕掛けの部分に強さを持つ小野寺は、新座第二中3年次には全国中学校サッカー大会に出場した実績を持つプレーヤーだ。

この日は「相手のバック陣がちょっとラインがずれていたので、自分でブレイクしに行けるかなと思って、相手を崩壊させるために」、前半から持ち味の俊足を飛ばして裏のスペースに走り込み、浦和東の堅守をブレイクにかかる。また、その走りのスピードは守備の部分でも効いていた。

上田健爾監督も「今日は小野寺ですかね。かなりスピードがあって、彼がやっぱり攻撃のアクセントというところになる。そこはかなり警戒してきたと思うんですけど、それによって割れたところもあったと思うので、ゲームコントロールっていう意味でも貢献していたし、得点っていう意味でも良い突破をしてくれたので、良かったんじゃないかなと思います」と評価していた。

「やっぱり見える景色が中学校と高校とは全然違うと思うので、埼スタでもプレーしたいですし、もっと応援されたい気持ちがあるから、絶対に全国に行きたいです」。そのためにまずは準決勝の武南戦に臨む。「自分のストロングポイントを生かして、相手を崩壊できたらいいと思うし、また自分のゴールで勝てたら嬉しいので、チーム一丸となって熱く戦いたいです」。2度目の全国を狙う小柄な快足アタッカーが次も相手の守備ラインを破壊し、ゴールをこじ開ける。

石黒登(取材・文)