[総体]成徳深谷DF横山大平、後半終了間際にPKで決勝弾。「いっぱい悔しい想いをした」守備の要が目指す全国
悔しかった経験を繋げる。そう話す成徳深谷の守備の要がペナルティキックを蹴り込んで勝利を決めた。CB横山大平(3年)は1-1の82分、冷静に流し込んで4強進出を手繰り寄せた。
準々決勝の聖望学園戦は前半に左CKからヘディングで合わせられて失点。「ちょっと雰囲気としても相手に受け身になっちゃう形になって、そこからセットプレーで失点しちゃったので、やっぱりきつい時の流れの持っていき方だったりは、ちょっと反省点だなと思います」と話す。
それでも後半は「(前線が)前に前に、強く強く押し出してくれて、そこで良い流れが作れたと思います」。後ろでも相方の佐々木亮(3年)とうまく声を掛け合いながらチャレンジ&カバー。前半は相手FWと入れ替わるシーンもあったが、後半はうまく耐えながら立ち回れたという。
52分にはFW川上稜介(3年)が決めて同点に。その後も攻め続ける中で迎えた後半AT、成徳深谷はMF堀口凜(3年)のシュートが相手のハンドを誘い、ペナルティキックを獲得する。
スポットに立った横山は「意外と落ち着いて蹴れました」と右足でゴール右隅に流し込んで、これが劇的逆転ゴールに。「去年は初戦(3回戦)で負けちゃって、スタジアムを経験できずに終わっちゃったので、今年は決めきれて勝ったので良かったです」と試合後には笑顔を見せていた。
横山はひとつ上の代から主力としてプレーしていた中で、昨年の関東大会では横浜創英戦で失点に絡み、試合後に人目もはばからず大泣き。それでも為谷洋介監督は「あれから中心選手に成長してくれた」と話すように、この悔しい経験を繋げて今年はディフェンスの要となっている。
本人も「関東でも悔しい想いをしたり、インターハイも初戦でこけちゃったり、選手権でも西武台に叩かれたり、去年はいっぱい悔しい想いをしてきた。しっかり今年はそういうところを、自分がチームの際を、勝利に持っていけるように意識しています」と責任感を持ってプレーする。
「雰囲気の良いチーム。でもちょっとやっぱり流れが悪くなっちゃうと、矢印が他人に向いちゃったりしちゃうので、しっかり自分に矢印を向けながら最後まで集中して、チームを勝利に持っていけるようになっていきたい」「やっぱり踏ん張りどころだったり、そういうところでチームが助かればと思っているので、しっかり後ろから良い声を出してあげようかなと思っています」
「西武台は去年負けている相手でもあって、関東でもナックを経験できなかった。自分たちはここで、ナックで去年負けている相手にリベンジして、そこから全国を狙っていきたいと思います」。準決勝で西武台に敗れ、インターハイ出場とはならなかったが、成徳深谷のディフェンスリーダーはまたこの悔しさも糧にして、選手権までにチームとともにさらに大きくなって帰ってくる。
石黒登(取材・文)