[関東大会]埼玉平成DF鈴木葵琉、「僕は諦めてなかったので」。後半ATに自ら獲得したPKで同点弾&延長戦の決勝ゴールでヒーローに

「僕はやっぱり諦めてなかったので」というサイドプレーヤーが土壇場の2得点で勝利貢献。埼玉平成の右WB鈴木葵琉(3年)は1-2の後半40+2分に自らが獲得したペナルティキックを決めて同点弾を挙げると、延長後半には勝ち越しゴールを決めて逆転勝利の立役者となった。

2回戦の本庄第一戦、立ち上がりから押し込んで進めた埼玉平成は後半15分、FW新田礼人(3年)のゴールで先制したが、23分に同点弾を許すと、36分には逆転ゴールを許してしまう。

残り時間はあとわずか。敗戦の空気も漂ってきた中で鈴木は「僕はやっぱり諦めてなかったので。やっぱり本当に負けたくなくて、自分が点を決めようっていう気合いで点を取りにいきました」。

その強い想いが繋がったのが40+2分だ。スローインからエリア内で倒されてペナルティキックを獲得すると、自らペナルティスポットへ。緊張感のかかる場面で静かに一呼吸つくと、「ずっと決めていた」というゴール左側に右足で蹴り込んで土壇場でチームを救う同点弾を奪う。

さらに迎えた延長戦でも「やっぱり俺が点を決めたいと思っていた。PKよりもやっぱり延長で勝ちきりたかった」という鈴木は延長後半2分、右CKからMF伊勢亀譲(3年)主将が競り勝つと、ゴール前の混戦を左足で押し込み勝ち越しゴール。そしてこれが決勝ゴールとなった。

「本当に全員が気合いを入れてボールに突っ込んでいって、そのこぼれたボールを僕が押し込めたので、もう本当に全員の気合いのこもったゴールだったと思います」。また、伊勢亀主将が延長戦でエンドを変えたことで決勝弾は応援団の目の前。割れんばかりの大歓声を浴びたこの日のヒーローは「マジで最高でした。本当に気持ちよかったです!」と興奮気味に振り返った。

浦田尚希監督も「よく走れますし、気合いもある」という鈴木は攻守で戦える選手。その中でも「やっぱり今日みたいに点を決めたり、クロスでアシストしたりっていうところが僕のストロングポイントだと思います」。この日はその特徴を発揮し、勝利に貢献。一方で「でもやっぱり足下で繋ぎたいところとかもあったので、もっと落ち着いてプレーできたら」と課題も語った。

「マジで本当にかっこよかったです」と憧れのまなざしで見つめた2年前の代以来となる本大会まであと2勝。「次の浦南戦も決めるところをちゃんと決めて、勝負強いチームにして、関東大会に出たいと思います」。次戦も攻守で戦い、持ち味の点に絡むプレーで勝利を手繰り寄せる。

石黒登(取材・文)