[関東大会]浦和東FW金響生、覚悟を持って臨み今季公式戦初白星に導く2発。プレー面でも、精神面でも成長しながら“ウラトンのエース”に

浦和東は19日の関東大会予選1回戦で川越東に3-1で勝利し、今季リーグ戦も含めて公式戦初白星。1-1で迎えた後半、FW金響生(3年)が2得点を挙げてチームに歓喜をもたらした。

開幕したS2リーグでは相手よりも多くチャンスを作りながら正智深谷Ⅱ、武南Ⅱに連敗スタート。その中で「いつもは結局負けても悔しかったねとかで終わっちゃうんですけど、今回は負けたら死ぬくらいの気持ちを持って、それ(勝利)以外いらない」と強い覚悟を持って臨んでいた。

チームは前半26分にMF水野漣人(2年)のゴールで先制するも、後半開始1分に相手のスーパーゴールで同点に。流れを持っていかれかねない展開だったが、エースFWが力を見せる。

失点からわずか4分後、DF佐々木佑輝(3年)のロングスローからDF塩谷龍哉(3年)が折り返すと、「どんな時でもキーパーのこぼれとか、そういうところをアラートでやるっていうことはずっと意識しているので」と話す金が混戦をヘディングで押し込んで勝ち越しに成功する。

さらに10分には、後方のロングパスがミスキックとなりニアに。味方も反応できていなかったが、これに走り込んだのが金だ。「よく考えていなかったですけど、身体が動いた」とストライカーらしい本能で察知し、スペースに走り込んで右足アウトにかけて沈めて勝負を決定づけた。

前半は緊張もあり、ボールを収められなかったが、「常にゴールのことだけをずっと考えて、どんなにミスしても点を取ればもうヒーローって思っているので、ミスを気にせずに絶対に点を取って帳消しにしようと思っていた」というFWがチームに今季公式戦初勝利をもたらした。

181cmの長身を生かしたヘディングやロングキックを収めて起点となりつつ、そこからゴール前に入っていく動き出しは持ち味だ。チーム当初は線の細さが目立った中で「もうずっとサッカーのことだけをやってきました」と四六時中サッカーのことを考えながら筋トレや食トレにも取り組み。「やっぱり最初は全然収められなくて、身体負けもしていたんですけど、最近S2リーグとかだったらほぼ負けないので、そこはやっぱりやってきて良かったなと思います」と語る。

今年はストライカーナンバーの「9」を背負う。最初はうまくいかず、監督に言ってしまうなど苦しんだ時期も。当初は自分よがりなプレーも多かったという。それでもいまは9番を背負う責任をしっかりと感じながら「チームのために」というのを頭に入れてプレーできていると話す。

2回戦で聖望学園に敗れたが、「S1だったり、県外の強いチームには押し込まれることがほとんどなんですけど、守備からしっかりやって、1本のチャンスを決めきるみたいな、そういうところをやっていきたい」という前線の核がプレー面でも、メンタル面でも成長しチームを引っ張る。

石黒登(取材・文)