[プレミアEAST]現高知MF須藤直輝の言葉に惹かれ沖縄から埼玉へ。昌平の156cmMF高江洲春虎がプレミア初出場でバースデー弾となる先制ゴール
嬉しいバースデーゴールとなった。昌平MF高江洲春虎(3年)は前半38分、MF山口豪太(3年)のクロスをコントロールすると、左足で沈めて今季のチームファーストゴールを奪った。
「初めてのプレミアスタメンでもありましたし、出場でもあったので、最初は本当に緊張したんですけど、周りの声かけだったり、仲間にも支えられながら今日はプレーできて嬉しかったです」
高江洲にとってこの日の市立船橋戦がプレミア初出場。右SHとしてスタメン出場して、38分に山口のクロスからFW立野京弥(1年)が潰れると、「トラップは逆にうまくいきすぎて足下に入りすぎた」というが、食いついてきた相手をうまくワンタッチでずらし、左足で流し込んだ。
開幕戦となった4月6日は高江洲の誕生日。嬉しいプレミアでの初弾はバースデー弾となった。
「やっぱり親元を離れているので、少しでも親に恩返ししたいのと、チームに少しでも貢献して勝利に繋げられればと思っています」。試合前には両親から誕生日を祝うラインが。また、「仲間からもバースデーボーイがゴールを決めなきゃみたいに言われていたので、その期待とかもあって、本当にずっとゴールは狙っていて。決めた瞬間は本当にめちゃくちゃ嬉しかったです」。
ゴール後はピッチ内の仲間から手荒い祝福。さらに応援団からはハッピーバースデーの歌のプレゼントも。「本当に嬉しかったですね。めちゃくちゃ良い仲間です」と言って笑顔を見せた。
1、2年はなかなか試合に絡むことができず。昨年はS1を戦うセカンドチームが主戦場だったが、「そのS1でも数試合に出ただけで、全然安定した立ち位置にはいなかったです」という。
今冬のニューバランスカップや春のフェスティバルではサブのB戦の出場だった。それでも「やっぱりずっとアピールの場はあったので。そこでめげずに自分で目標を持ちながら頑張ってきました」というMFは「アタッカーの人間として、何かを起こす」ことを意識しながら成長し、芦沢徹監督体制下初のスタメンを奪取。そしてその試合でゴールという、何かを起こして見せた。
身長は登録選手で一番小さい156cm。中学時代は身長がないことを恨めしく思ったこともある。
そんな価値観を変えてくれたのが1学年上のMF大谷湊斗(筑波大)と同級生のMF長璃喜だ。
「昌平に来てからですかね。それがなんか武器にできて。いままでは身長が欲しいとかめちゃくちゃあったんですけど、別にあの2人をお手本にしていたら自分の直すところはそこじゃなくて違うところにあるんじゃないかって気づき始めて」。大谷は170cm、長は167cmと決して大きくはないが、試合の中で技術を発揮する2人を見て身長に対する考えを改め。特に同級生の長は「3年間お手本になっているので、それは本当にこっちに来て良かったと思っています」と話す。
沖縄のWウイング沖縄FC出身。今季、鹿島から高知にレンタル移籍したMF須藤直輝の代を見て昌平を選んだという高江洲は「昌平のひとりひとりの技術の高さだったり、須藤直輝さんの『自分のプレーで観客を魅了したい』っていう言葉に惹かれて、自分もパスもドリブルもどっちもありながら、やっぱり攻撃の楽しさがそこにあると思っているので。いまもそうですけど、この昌平にいて、自分の好きなサッカーをここでできているのがめちゃくちゃ嬉しいです」と語る。
この日はゴール外でもサイドから何度か好突破を仕掛けていたが、「やっぱり日頃のプレーをあの場でできないとダメだと思っているので。長くんだったり、山口(豪太)くんの方が攻撃参加だったり、ゲームメイクだったり、チャンスを作っていたと思うので、それに負けじと自分も入っていければと思っています」と今季のダブルエースである山口、長のような活躍を目指す。
そのうえで卓越した技術で選手権を沸かせた須藤のようにスタジアムを沸かせるのが目標だ。「自分がそうできたら本当に嬉しい。まずは日々の練習から真剣に取り組んで、もう一回スタメンを取りながら、ゴールを決められたらなって思います」という小兵はこの日のチャンスを無駄にせず、1日1日を大事にしながら、まずはチームでの自分の立ち位置を確固たるものにする。
石黒登(取材・文)