[彩の国カップ]公立中高出身のCBがクリーンシートに貢献。東京国際大DF大沼龍我「頑張っていれば報われる」

天皇杯予選を兼ねた「彩の国カップ」(4月27日)の大学代表決定戦決勝が8日に行われ、東京国際大が1-0で城西大に勝利。一進一退の展開となった中で前田秀樹監督は「失点0で抑えるのはサッカーにとって大事なこと。そういった意味では合格かな」と後ろの頑張りを讃えていた。

城西大が圧力に対し、東京国際大はGK大畑神唯(3年)主将が守備範囲の広さを見せてクロスに対応。そしてバックラインではDF平川周汰(3年)とコンビを組んだDF大沼龍雅(3年)が「本当に最後抜かれても、やっぱ最後のところでスライディングして、もう無理だと思っても滑るっていうことを意識しました」と相手のシュートに何度も食らいついて決定機を阻止した。

大沼は「やっぱりボールを持っている人の目線とかで、奥に蹴りそうだったら奥を見るじゃないですか。その目線をよく見て守備していました」と相手の目線を見て次のプレーを予測し、シュートコースに回り込んでブロック。今大会は全3試合にフル出場し、失点1の堅守に貢献した。

今季も関東大学1部を戦う東京国際大のメンバー表には、全国大会に出場するような県外の強豪校やJアカデミー出身の選手が並ぶが、大沼は地元埼玉の公立校である川口青陵高の出身だ。400人を超える部員が在籍する同大では「最初は一番下のカテゴリからのスタートだった」という中で市瀬勇樹コーチに拾い上げられる形で1年の終わりにトップサブの練習に参加。また、高校時代はFWだったが、このタイミングでCBにコンバートされたことが現在に繋がっている。

「チームで一番速い」というスピードを押し出したプレーに加え、「これまであんまりサッカーを考えてプレーするタイプじゃなかったんですけど、ノセさんからは「サッカーは身体だけじゃなくて、頭でやるスポーツだ」とずっと言われていて。ノセさんは頭を使ってサッカーをしてきたCB。いろいろずる賢いプレーも学びました」と頭を使ってプレーできるようになったという。2年生はトップサブとトップを行き来していたが、3年の夏からはトップチームに定着した。

前述のように高校は川口青陵高、中学は川口在家中でプレー。周りの選手たちと比べれば、決して日の当たるキャリアを歩いてきたわけではない公立中高出身選手が関東1部リーグ所属の大学でプレーするのだから夢がある。大沼も「自分自身もそうだと思います。経歴とか関係なくても、頑張っていれば報われる」とコメント。「やっぱり関東1部リーグで一番失点の数が少ないチームにしたいですし、(彩の国カップでは)東京国際大FCの人たちも悔しい想いをしていると思うので、そこはしっかりアヴェントゥーラを叩いて無失点で勝ちたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)