浦和レッズJY GK河合颯佑、「勝てる自信しかなかった」。守護神が初戦に続き2本のPKストップで決勝進出に貢献

「もう本当に緊張がひとつもなく、勝てる自信しかなかったです」。浦和レッズジュニアユースの守護神・河合颯佑(3年)が殊勲のPKストップ2発でチームを11年ぶりの決勝に導いた。

今大会は1回戦の名古屋グランパスU-15戦で終盤に追いついて、PK戦となった中で2本のPKストップを決めて勝利に貢献した河合だが、これまでPKはあまり得意ではなかったという。

「(ジュニア時代から含めて)いままでPK戦では本当に勝てたことがなくて。その中で勝てて、やっぱり自信がついて、得意にできたらって思って、今日も不安要素が一個もなくて、ずっと笑顔で止められました」。PK前には「ヒーローになってこい」と送り出された守護神はこの大舞台でも自信を持って臨み、後攻の相手の2本目、4本目を止めて、文字通り“ヒーロー”になった。

河合について主将のDF岩﨑篤斗(3年)は「この大会でも本当に成長して、初戦のところとかも、僕が最初に外してしまったんですけど、そこからしっかりと止めてくれて、やっぱりもうすごい“ザ・守護神”みたいな感じ。これだけ信頼できるキーパーは僕はあまり見たことがないので本当に頼もしいです」と話す。この日のPK戦でも岩﨑が初戦のリベンジとばかりに思いっきり蹴り込んで決めたのを見届けると、腕章を託された中でまさに守護神として立ちふさがった。

クラブユース選手権は、関東予選でFC東京U-15むさしにスコアレスからのPK戦の末に涙。「夏にPKで負けて、やっぱりそこで同じことをくりかえしたくないっていう気持ちがあった」という河合は日ごろの練習から「チームを勝たせる」「チームに貢献したい」という想いでトレーニング。「メンタルはもう1年間を通して、最初は結構引き分けになると焦ったりしていたんですけど、今日はもう全然引き分けになっても止める自信があったので、全然引き分けでもいいっていう感じだった。(失点しても)あんまり心配はなかったです」と夏からの成長を見せた。

ジュニア時代から見守る金生谷仁監督も「ここでそういうのができるっていうのは、やっぱりあいつが頑張って積み上げてきたものだと思うし、積み上げてきた努力が成果として実った。あとはそれだけじゃないものをちゃんと感じられるやつだと思うので、それがやっぱり結果として出てるんじゃないかなと。技術的なことはあんまりわかんないですけど、そういう心の部分は、あいつは多分ちゃんと感じて、あのゴールを守ってるんだろうなっていうのは感じていたので」と信頼する守護神は「最後までこの左胸にあるエンブレムを背負って戦えることを誇りに思って、自信を持ってプレーして勝ちたい」と意気込み。卒業後は高体連のチームに進む中で最後までこのエンブレムに誇りを持って、チームを勝たせ、11年ぶりとなる日本一獲得に貢献する。

石黒登(取材・文)