浦和学院GK岡本悠汰、「本当に楽しくて」。相手のクロス攻勢も楽しみながら零封し西武台撃破
この大舞台でも緊張よりも「楽しさ」の方が勝っていたという。「今大会、本当に楽しくて。あっという間でした」。そういって浦和学院の守護神・岡本悠汰(3年)は80分間を振り返った。
「後半はクロスとかもめっちゃ前から来てて、守る時間の方が多かったけど、みんなで守っている感じがあって、負けないみたいな、失点しないみたいな気持ちを持ちながらやっていました」
浦和学院は御武内龍吾、上村龍生、秋澤聖(ともに3年)のディフェンスの3枚看板はもちろん、岡本も「クロスが来た時にキャッチしてめっちゃ楽しいし、嬉しいみたいな」と相手のクロスからの猛攻にも恐れる気持ちではなく、「楽しい」「嬉しい」という感情の方が勝っていたと話す。
51分にはゴール前でワンバウンドする嫌なアーリークロスをしっかりと前に出て処理。68分には右クロスに対し相手FWを恐れずにしっかりとハイボールを収めると「もうノリノリでした」。
「一発目のファールをもらった時からもうノリノリで、別にハイボールも苦手なわけじゃないし今年に入って結構ハイボールを練習してきたので、その成果が出たなって、自信を持ってできました」。その後も「楽しい」という想いを身体全体を使って表わすようにハイボールにトライしキャッチ。相手の武器とするファーへのクロスからの攻撃を防ぎ続け、無失点勝利に貢献した。
キーパーを始めたのは小3から。練習試合でキーパーがいなかったことからやったのが最初だ。「本当に軽い感じでやり始めた」というキーパーだが、すぐにその「楽しさ」の虜になった。
「相手がめちゃめちゃ攻めてきて、もう最後の砦じゃないですか。そこでどんな局面でも止められる可能性があるから、そこで止めた時の快感とか。結構楽しいですよ。チームを救えるみたいな、仲間のミスも全部救えるから」。どれだけ攻められようとも、チームを救うことができる最後方の砦。まさにこういった試合は岡本が一番「楽しさ」を感じられるゲームだったわけだ。
決勝の会場は学校から目と鼻の先にある埼玉スタジアム。「チャリで毎回横を通るので、いつか中でやってみたいなとか、レッズとか代表が試合をやっていると、歓声とかがめっちゃ聞こえてくるので、すごそうだなみたいな、どうなってるんだろみたいな」とずっと目指し、憧れにしていたスタジアムだ。その舞台に立つ自分は「まだ想像できないですね」と笑って話したが、準決勝も楽しみながらプレーした浦学の守護神は埼スタの大舞台でも楽しんでプレーするのだろう。
サッカーは高校で一区切りとする予定だったが、ここに来て迷いも生まれているという。だって、この心底震えるような感動を知ってしまったから。その前に仲間とともに初優勝を狙う岡本は「いまのところ無失点なので、このまま決勝もみんなと協力して無失点優勝を目指します」と宣言。憧れと話すエデルソンのようにチームを救うセーブ、キックで浦和学院に栄冠をもたらす。
石黒登(取材・文)