「僕からしたらSBはFW」昌平のユーティリティ、中松陽太が語っていた“攻撃”へのこだわり CB→SBで即回答、土壇場の同点弾でチーム救う!

玉田圭司監督も「攻撃力があって、オールラウンド。そういう選手がいることは心強い」と話す昌平のユーティリティ。DF中松陽太(3年)が得意の“攻撃”で窮地にあったチームを救った。

大宮アルディージャU15出身の中松は、当時からFWや後ろ、左右SHとさまざまなポジションを務めてきたユーティリティ。トップサブで臨んだ今年の新人大会はボランチでプレーした。

今季はSBでポジション争いすることが予想されたが、蓋を開けてみればCBでプレミアの初戦からレギュラーを獲得。CBは初挑戦だったが、意欲的に臨み、プレミアの強敵たちとの戦いの中で学び成長。県大会では正確なフィードやセットプレーのキックでも昌平の優勝に貢献した。

県決勝では「もう(GK以外)全部できるようになっちゃいました」と言って笑っていたが、同時に「本当はドリブルとか攻撃もしたいんですけどね」と“攻撃”へのこだわりも垣間見せていた。

そんな攻撃が実を結んだのが、準々決勝の桐光学園戦だ。1-2の後半27分、玉田圭司監督は疲れの見え始めた右SBの安藤愛斗(2年)に代えて予選では怪我のCB坂本航大(3年)に替わり主力を務めたCB鈴木翔(3年)を投入。それに伴い、CBの中松が右SBにスライドする。

「CBから右SBになって、僕からしたらSBはもうFWみたいな、攻撃もなんでもできるみたいに思っていて。もう最後なので、FWの位置まで行って点を取ることだけを考えていました」

34分、MF本田健晋(3年)が右クロスを送ると、そこに飛び込んだのはFWでもなく、2列目の選手でもなく、右SBの中松。「なんかここら辺に来そうだなっていう感じで」「もともとFWなのでその時の感覚が蘇った」と本能に従い、中央に飛び込み、ドンピシャのヘッドで合わせた。

「絶対に追いついてやろうと思っていた。点を決めた時はヨッシャー!と」。チームを土壇場で救う同点弾。ゴール後は大きく咆えながら、ベンチに駆け出し仲間たちと喜びを分かち合った。

今大会は相手FWに持ち味の縦パスを封じられるなど、まだまだ決して本調子というわけではないが、勢いに乗る意味でも今後に繋がってきそうなゴール。準決勝の帝京長岡戦に向けては「とにかく走ってくるチームだと思うので、走り負けないで、球際とかも強く、後ろから安定できるようにしたいです」。まずは守備の安定を図りつつ、次も攻守でチームの勝利に貢献する。

石黒登(取材・文)