山口豪太、長璃喜、松井美優…昌平3人集がプロへの意気込み。強化担当者が評価したポイントとは

昌平高サッカー部は22日、杉戸町の同校にて「Jリーグ・WEリーグ加入内定者合同記者会見」を行った。男子サッカー部からは湘南ベルマーレ内定のMF山口豪太(3年)、川崎フロンターレ内定のMF長璃喜(3年)、女子サッカーからはマイナビ仙台レディース内定のFW松井美優(3年)のほか、学校関係者や加入内定チーム代表者が出席。各選手が将来の抱負などを語った。

湘南が高く評価したのは、山口の技術だけではなかった。スポーツダイレクターの吉野智行氏は、左利きならではドリブルやパスの質に加え、短期間の練習参加で見せた成長力に言及。その背景として「傾聴力」を挙げ、クラブが重視する“人間力”の観点でも大きな魅力を感じたと語った。

山口は小学生時代にロシアW杯を見たことをきっかけにプロを意識し、FC LAVIDAでの日々や各年代代表での経験を通じて「目指せる」という実感を深めてきたという。「この先、プロで長くやっていくことを考えたら、最初の1、2年とかすごい大事になる。その中で自分が成長できそうだなと思ってこのクラブを選びました」と成長環境が一番の理由だったことを明かした。

川崎内定の長に対しては、トップチームスカウトの向島建氏が強い言葉で期待を寄せた。スピード、ドリブル突破力、そして勝負どころでゴールを奪い切る力。「僕もスカウトを20数年やっていますけども、高校生で、このレベルでは久しぶりかなという感じがします」と高く評した上で、埼玉県決勝の終盤でも決め切ったプレーを引き合いに出し、チームを救える存在だと評価した。

長自身、プロを本気で意識したのは高校3年生になってから。複数のJクラブの練習参加を経て、「この舞台でやりたい」という感覚がはっきりしたという。川崎については「やっぱり“うまい”っていうイメージがありました」とし、「シンプルにこのクラブでやりたいと思った」と話す。「まずは川崎フロンターレで試合に出て、日本代表に入れるように頑張りたい」と展望も語った。

山口、長は昌平から17人目、18人目のJリーグ内定選手に。LAVIDA時代から6年間にわたり切磋琢磨してきた盟友同士で、山口が「一緒にずっと上の学年に上がったりさせてもらっていて、いる時間が長かったので仲の良い友達です」と言えば、長は「自分もサッカー以外でも日常生活だったり、豪太といる時間が長くて卒業したら別れちゃうので、寂しいです」とコメントした。

女子サッカー部からは、エースストライカーの松井が仙台に加入が内定。同校初のWEリーガー誕生となった。スカウト担当の千歳吾朗氏は、松井とのインパクトのある出会いを明かす。

「初めて会ったのがユースチームと練習試合を高校2年生の時に行った際に、確か当時45分の2本くらいやった記憶があるんですけど、その時に2点まずバンバンと入れられて。今年5月頃に練習試合の方に呼ばせていただいた際にも5点くらい取っていた。その際に現監督の須永の方からもぜひもう一度呼びたいというところで、次の週にも早速、練習に来ていただいて、その週のうちにオファーを出させていただきました」と即オファーに踏み切った経緯を明かした。

好きな選手に挙げる元ブラジル代表ロナウドを彷彿とさせるドリブルと得点感覚に加え、特別指定選手として長期練習参加を通じ、課題を自覚しながら取り組む姿勢も高く評価された。松井は「自分の強みであるスピードを誰にも負けない武器に変えられるように日々努力を重ね、少しでも早くチームに貢献できるような選手になれるよう頑張っていきます」と意気込みを語った。

3選手はこの後、29日に開幕する全国高校サッカー選手権(全日本高校女子サッカー選手権)に臨む。山口、長は揃って「日本一」を掲げ、松井は「自分たちより強いチームもたくさんあると思うんですけど、その中でも戦って勝ちにいく。日本一を目指して頑張りたい」と頂点を狙う。

石黒登(取材・文)