第99回全国高校サッカー選手権大会・決勝が11日に埼玉スタジアムで行われ、山梨学院が2-2からのPK戦の末に青森山田を下し、第88回大会以来11大会ぶり2度目の優勝を飾った。
今年もファイナルの舞台に多くの埼玉出身選手が絡んだ。青森山田はここまでの4戦と同じくDF内田陽介(クマガヤSC)がスタメン、1年生DF多久島良紀(大宮アルディージャU15)がベンチ入り。山梨学院は守護神の熊倉匠(レジスタ→FC東京U-15深川)、DF鈴木剛(クラブ与野)、MF石川隼大(グランデFC)、MF新井爽太(FC深谷)に加えて、2回戦で負傷し欠場が続いていたDF板倉健太(CAアレグレ)が復帰して先発。GK磯部圭佑(クラブ与野)、DF加藤豪太(大宮アルディージャU15)、FW鈴木健世(CAアレグレ)の3人がサブに入った。
青森山田は前半5分、スルーパスにMF松木玖生がエリア内に抜け出すもGK熊倉が最後まで動かず右足でブロック。すると山梨学院は12分、右サイドを新井がドリブルで運び中央にパスを送ると、このボールをMF広澤灯喜がひとつ持ち出して右足を振りぬきネットを揺らした。
その後は青森山田が押し込む展開の中で山梨学院はチームスタイルである粘り強い守備を発揮。板倉、一瀬大寿のCBコンビをはじめ、右SBの鈴木やボランチの石川も最後の勝負所で身体を当てて自由にはさせず。ロングスローやクロス等のハイボールにも熊倉が落ち着いて対応する。
そういった中で青森山田はなかなかネットを揺らすことができなかったが、何度も繰り返しアタックしていくとついに堅陣を破る。後半12分、今大会得点を重ねてきた内田のロングスローからこぼれ球を松木がボレーシュート。これは熊倉が反応したが、弾いたところを来季より浦和レッズ加入が内定している主将のDF藤原優大が決めて追撃。さらにその6分後、内田が起点となりサイドに叩くと、クロスを準決勝ハットトリックのMF安斎颯馬が決めて逆転に成功する。
それでもこのままゲームは終わらない。山梨学院は後半33分、途中出場のFW笹沼航紀のスルーパスからエリア内で混戦となったところを10番のFW野田武瑠が決めて同点に追いついた。
終盤も青森山田にチャンスを迎えたが、ポストや熊倉の好守もあり勝ち越しとはならず延長戦へ。そして延長戦でも決着は付かず、ついにPK戦に突入する。PK戦では今大会2度のPK勝ちを手繰り寄せている熊倉が相手の2本目を読み切ってストップ。その後、青森山田の4人目のシュートが左に外れた中で、山梨学院は4人全員が成功させて11大会ぶりの栄冠に輝いた。
石黒登(取材・文)