3度先行を許すも追いつく、驚異的な粘りを見せた川口幸並が激戦を制し2回戦へ! 市予選敗退が「普通だった」チームはいかに急成長を遂げたのか

令和4年度学校総合体育大会・1回戦(16日)。点の取り合いとなった川口幸並と久喜太東の一戦はPK戦の末に川口幸並が勝利を収めた。川口幸並は22日の2回戦で新座第二と対戦する。

先行したのは久喜太東だった。前半5分、ロングキックに抜け出したFW加藤駿治(3年)がDFと入れ替わりゴールに流し込む。さらにその2分後には相手GKの捕球ミスから加点した。

一方、立て続けに2失点した川口幸並も全員がヘッドダウンすることなくすぐさま反撃に出る。

前半15分、MF平田政斗羅(2年)の諦めずに追う姿勢がPKに繋がり、これをFW相川大和(3年)がゲット。さらに26分には相川を起点に、途中出場のMF高橋司(2年)が抜け出し。これは前に出たキーパーがブロックしたが、こぼれ球を平田がしっかり詰めて同点に追いつく。

試合はその後も点取り合戦の様相に。久喜太東は前半30分、左サイドで受けた10番MF玉置凱大(3年)がカットイン。鋭い切り返しで2枚を外し、最後はニアサイドを抜いて再びリードを奪う。しかし、川口幸並も後半1分、左SBの吉岡廉(3年)の縦パスから高橋がドリブルで持ち込みシュート。こぼれ球をMF林琉耶(3年)主将が決めてすぐにスコアをタイに戻す。

久喜太東は後半12分、加藤の浮きパスから玉置がGKとの1対1を決めてこの試合3度目のリードを奪ったが、川口幸並は17分に相川が仕掛け、右足で流し込んで三度イーブンに戻した。

試合は4-4のままPK戦に突入。先行の川口幸並は2本目と5本目を外す苦しい展開だったが、身体能力を買われ、中2からGKを始めたという守護神のチョカル・サガール(3年)が3本目、そして緊張感のある5本目を止めてチームを救うとサドンデスの末に勝利をものにした。

先に2点を奪われ、3度先行された中で驚異的な粘りを見せての勝利。川口幸並・中山輝哉監督は「市大会の経験が生きた」と振り返る。八幡木との準々決勝は先に失点する苦しい立ち上がりに。それでも前半のうちに同点に追いつくと、後半に決勝ゴールを決めて逆転勝利を飾っていた。

この日も苦しい展開が続いたが、その中でも「まだ行けるぞ!」「どんどん前に行こう!」と声を掛け合い、誰一人ヘッドダウンすることなく勇気を持って戦ったことが劇的勝利に繋がった。

また、指揮官は市大会から通じての選手たちの成長に目を細める。もともと川口幸並は「(市予選でも)1回戦負けが普通だった」という。それでも「僕たちが行こう!」と臨んだ予選では初戦の2回戦で十二月田に2-0で勝利して初戦を突破し「いろいろみんなプレッシャーもあったんですけど、そこで勝てたのが自信になった」(相川)。自信は勢いを生む。3回戦で逆転勝ちを収めると、準決勝では川口東をスコアレスからのPK戦の末に破り、県大会出場を掴んだ。

決勝で昨年の県大会覇者・川口西に0-1で敗れたが、上に行けば行くほど1点が命取りになることを実感しつつ「やれた部分もあった」と手応えも。「みんなの意識が高くなって、いままで声を出さなかった人も声を出すようになった」(林主将)とこの経験もチームの成長に繋げた。

「ここまで来られたことに驚きもありますけど、もうここまで来たらやるしかない。絶対に勝ちます」と林主将は意気込みを語る。2回戦の相手は新座第二。昨年は県大会で準優勝、関東予選を突破した強豪だが、急成長を遂げるチームはこの試合の経験も成長に変えて、勝利を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

久喜太東 4(3PK4)4 川口幸並
3(前半)2
1(後半)2
3(PK)4