昨年大会のリベンジを果たし、今年こそは悲願の日本一へ――。MF長準喜(3年)は先輩たちの愛に報いるためにも、そして昌平の「10」としてその名を刻むためにも結果で示す構えだ。
昨年はMF荒井悠汰(FC東京)、DF津久井佳祐(鹿島アントラーズ)といったプロ内定選手を擁し、本命候補の一角として名を連ねた中で3回戦で夏の覇者・前橋育英に敗れ涙を呑んだ。
「去年の借りっていうのは、自分を含めて、いろいろな選手が、いろいろな借りを返したいと思っていますし、自分は本当に前橋育英戦をまだ1度も絶対に忘れていない。(津久井)佳佑だったり、(荒井)悠汰の言葉はまだ自分の心の中に残ってますし、佳佑は自分たちを土台にして、来年は日本一を取ってほしいから、あえてあの言葉をくれたっていうのはわかってますし、逆にそれが佳佑の愛だと思ってたので、そういった部分で本当に結果で示したいなと思います」。
今年は荒井から「お前しかいない」と指名を受け、エースナンバーを継承した中でことあるごとに「昌平の10番として」という言葉を意図的に使ってきた。荒井はもちろん、その前は3年間、MF須藤直輝(鹿島アントラーズ)が背負ってきた番号。その重圧は目の前で見てきた長が一番知っている。今年はその重圧をあえて言葉にして背負いながら、その高い基準に応えるべく初のプレミアリーグでも卓越したスキルでチームを牽引。2大会連続の選手権切符も掴み取った。
先達の10番のように高卒プロの夢は叶わなかったが、来年からは関東の強豪大に進み4年後のプロ入りを目指す。「自分はプロの世界に行けないんですけども、プロに行けない10番じゃなく、結果でその時の代の10番に名を刻みたいな思っています」。先輩たちが果たすことができなかった8強の壁を崩し、悲願の日本一獲得となれば文句なくその名が刻まれることだろう。
県予選では要警戒選手としてマークを受けたことやバランスなどを考えて守備面での貢献度が高かったが、「自分は守備的ボランチじゃない」。自身2度目の冬の全国では持ち味のドリブル侵入による打開で相手ディフェンスをきりきり舞いにさせる「昌平の10番」が初の頂点に導く。
石黒登(文)