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名門・武南の新拠点「BUNANフットボールフィールド」が完成! カラーとともに「伝統」の攻撃スタイルを引き継いでいく象徴に

第二グラウンドが大幅改修 クラブハウスは伝統の藤色に

武南は高校に隣接するハーフコートの第一グラウンド(人工芝)のほかに、越谷市にクレー(土)の第二グラウンドを有しているが、今回リニューアルが行われたのが第二グラウンドの方だ。

全面人口芝に張り替えられたほか、もともと長辺が94mしかなかったが、日本サッカー協会の主催大会で原則として使われる105×68mのピッチサイズを確保し、公式戦が行えるように。ゴール後方には広々としたアップエリアが取られ、動線などにもこだわりが詰め込まれている。

また、クラブハウスもこの度“武南カラー”の藤色に染め上げられた。内野慎一郎監督は「そこは伝統を守りたかった。大山(照人)先生から受け継いだもので、そこはなくしたくないなと思っていて、それは常日頃から意識していること。そういう伝統を後世に伝えていくのは僕のひとつの仕事かなと思う。僕も本当に好きな色なので、あらゆるところにその色は使っている」と話す。

「大山先生をはじめ、先輩方々は本当に必死の想いをしてここのピッチで戦って、勝利を収めてきたというものが積み重なっていまがある。そこは本当に感謝の気持ちを持ってこれからも取り組みたいと思いますし、生徒たちにも感謝の気持ちを持ちながらサッカーをやってほしい」。

「武南のスタイル、美学」を大切に、このグラウンドでさらなる進化を

引き継いでいくのはカラーだけではない。伝統の攻撃スタイルというところも同様だ。内野監督は「もちろん環境に憧れて入ってきてくれる人というのはものすごくありがたいですけど、このサッカーを見て、ここでやりたいと思って、入ってきてくれる子と一緒にやりたい」と話す。

「サッカーを構築していって、そこに良い人たちが入ってきてくれて、また構築していった時に、こうやって蹴らないサッカーをやりたいなとか、クリアも本当にぎりぎりのところでするかもしれないですけど、ここ一番でペナルティーエリア内でドリブルするやつがいるかよみたいな雰囲気になるわけですよ。でも、それができた時にはやっぱり武南の特徴になるし、インパクトも強い。でも、取られて負けていたら何の話にもならないし、そこをどういうさじ加減で表現をしていくか。武南のスタイルというか、武南らしさというか、武南の美徳、美学というか、そういうチーム作りをいまはしていて、それを見て、入ってきてくれる子と一緒に戦いたい」。

かつてのサッカー少年たちは、武南のユニフォームとともに、個人技とコンビネーションを組み合わせた魅惑的で攻撃的なサッカーに酔いしれた。その年に入学してきた選手によってサッカーが変わってしまうのではなく、「武南の美学」を持って、普遍的なスタイルで勝てるチーム。指揮官は「やっている選手も、見ている人も、純粋に面白いサッカーが届けられれば」と話す。

フルサイズの自分たちのホームグラウンドができたことで「自分たちのリズムで人が呼べるようになった」のは強化にとって大きな利点だ。完成、間もないが、すでに県外の強豪校から練習試合の問い合わせがあるという。また、これまではハーフコートでスモールエリアでの崩しなどを磨いてきた中で「サッカーを俯瞰して見ることができる」というのはいままでではできなかったことだ。

その中でも「やっぱりこういうピッチでも、武南らしさは変わらないと思う」と内野監督はいう。「かといってドリブルドリブルのチームにするつもりもまったくないですし、もうちょっと進化はしていきたいと思っているし、絶対すると思っている。いろいろスタイルがあって、遠くが見られて、というのをうまく融合してやるためにこのピッチはすごくメリット」と語る。

埼玉県勢の全国優勝は、第60回選手権大会の武南が最後。多くの人たちが期待するのが藤色のユニフォームが全国の舞台で踊る姿だ。「本当にOBの方々がすごく応援してくれている方も多いので、そういう人たちがお正月にみんなで集まって「昔はこうだったね」っていう、昔話ができる場所に、できれば招待したい。それが一番です」。チームカラーやスタイルといった伝統を引き継いでいく象徴としての新拠点。このグラウンドで磨かれて、名門・武南は全国を目指す。

石黒登(取材・文)

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