浦和西高校

ウラワニシ コウコウ

活動拠点浦和西高校グラウンド、与野八王子グラウンド、堀崎公園グラウンド
練習日週5回トレーニング、週末ゲーム
HPアドレスhttp://www.urawanishi-h.spec.ed.jp/

1950年にサッカー部を創部した県立浦和西高校は「埼玉を制するものは全国を制す」という言葉に表れた、埼玉サッカーの黄金期を支えた古豪だ。

1957年に第35回全国高校サッカー選手権で果たした優勝は県立浦和高校に続く、埼玉の全国3連覇となる偉業だった。1965年にも第20回岐阜国体で優勝し、2回の全国制覇を誇る。OBには、メキシコ五輪銅メダルメンバーの鈴木良三さんから、現在、日本サッカー協会の技術委員長を務める西野朗さんなど、サッカー界で活躍する数多くの選手を輩出してきた。

今年、30年ぶりにインターハイ出場を決めて、全国の舞台を経験。本大会では開催県代表の東北学院を2-1で破って、最低限の目標としていた全国での1勝を挙げた。

しかし浦和西高校を率いる市原雄心監督は「悔しさだけが残りました」と大会を振り返った。

30年ぶりの出場であり、公立高校の代表としての出場ということで、多くの応援があり、その中で最低限の目標である全国での1勝は、チームにとっても学校にとっても大きなことではあった。しかし敗戦した試合の印象が残っているという。

「2試合目の全国の強豪校である京都橘との対戦では、信じられないようなミスもありましたし、相手は試合巧者だと感じる部分があって、そこに我々との差があると感じました。その差をどうやって埋めなければいけないんだろうかと思いながら、これまで過ごしてきました」と全国強豪校のレベルを痛感したようだ。

この経験、悔しさをチームで共有して再び全国の舞台に戻るための力に変えてきた。

「選手権に出て、京都橘を倒すためにはどうしたら良いのか。選手たちには日常を変えるしかないという話を伝え続けています。日頃のリーグ戦を戦う中で、色々な選手を使う中で、星を落としたりもしていますが、負けた試合の中でも良い発見をしながら、少し収穫はありました」。

市原監督は、浦和西高校から日本大学に進学。日大では自身も優勝メンバーで現在、母校の市立船橋を率いる朝岡隆蔵監督が同期、2個下には名古屋グランパスで活躍した中村直志さんがいた。浦和西での指導で大事にしている部分については、その自身の選手時代の経験から来ているものがあるという。

「私自身、高校時代まで股抜きが好きだったり、どちらかというとテクニカルな選手だったと思います。しかし大学に入ってから試合に出られない時期が続いて、3年生の後半に出られるようになった。全国の強豪校から選手が集まってくるような環境になると、ハードワークを怠らないこと、球際で絶対に逃げないという当たり前の部分がなければ試合に出ることが出来ないということを思い知らされたので、そのベースを高校時代に作ってあげたいという思いがあります。また次のステージでもサッカーを続けて欲しいので、最低限のスキルはここで獲得できるよう、ベーシックなトレーニングは年間を通してしっかりやっています」。

そして市原監督が浦和西で目指しているサッカーについて。

「私が10年前に自身の母校でもある浦和西に赴任した年にサッカー部のスローガンは「CHANGE」という言葉にして、西高生として、西高のサッカー部として、西高の男として、そのPRIDEをもって、ハートの部分は大事にしようと伝えて、今でもその思いを伝え続けています。

自分の理想はテクニック重視でいきたいところですが、勝負事ではそれだけでは勝てないので、二段構えをして、今のチームには大きい選手も多いので、背後に起点を作ることもしていますし、相手に応じて柔軟なサッカー、多様性なサッカーができる準備はしています。その背景にあるのは、直向きさだと思います」。

30年ぶりのインターハイ出場で古豪復活と浦和エリアを中心に盛り上がりを見せた。

「昔は、全国で”西高”といえば浦和西高のことを指したんだという話を良く聞きます。それだけの伝統を先輩たちが築いてくれたことは、学校にも飾ってありますし、生徒たちに教えています。ただし、その伝統に奢ってしまってはいけない。チャレンジャー精神がなくなったら、我々ではなくなってしまうとも言い続けています。我々が受けたり、構えたりしたらやられてしまうことも肝に命じています」。

インターハイ出場のシード校として、選手権2次予選は3回戦からの登場となる。

「2つ勝ってくる相手に対して、どう準備するかは非常に大事だと思っています。勝たないといけないと意気込み過ぎるのではなく、自分たちの力を発揮するという気持ちで試合にいどめるような環境づくりをしたいと思っています」。

選手権も直向きに勝利を目指す西高サッカーが見ることが出来るだろう。浦和西は、10月28日(土)昌平高校にて、春日部東高校と対戦する。

椛沢佑一(取材・文)