<全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント3回戦>昌平高校 vs 埼玉栄

29日(土)に選手権予選3回戦が行われた。3回戦からはついにこの夏の高校総体埼玉県代表校が登場。そのうちの1チーム、高校総体3位の昌平高校は、同校グラウンドで埼玉栄高校と対戦した。

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今夏の高校総体では初出場ながら、昨冬の選手権優勝校・東福岡高校(福岡)、静岡学園高校(静岡)といった強豪校を下してベスト4に進出。準決勝で最終的に優勝を飾った市立船橋高校(千葉)に敗れたものの、全国的に名前を高めた同校からは今秋、松本泰志(来季からサンフレッチェ広島)、針谷岳晃(来季からジュビロ磐田)という、2人のJリーガーが誕生した。

そして大本命として挑んだ今予選。「固さもあった」(昌平・藤島崇之監督)という初戦の入りは難しいものとなった。序盤からボールを握ったのは昌平。だが、埼玉栄もボールの出所である針谷にマンマークをつけ、自由にプレーをさせない。さらに球際から激しく仕掛けてくる埼玉栄に対し、昌平は快速ストライカーの本間椋を活かした攻撃や、針谷の直接コーナーキックなどからゴールに迫るも、得点に結びつけることができないまま0-0で前半を終える。

後半に入っても昌平はなかなか最後の部分を崩すことができず。逆にカウンターから埼玉栄にシュートまで持ち込まれるなど苦しい展開を強いられる。それでも夏から積み上げてきたという「前線の崩し」の部分がついに身を結ぶ。起点になったのはこの試合徹底マークに遭っていた針谷だった。後半14分、ゴールエリアわずか外でボールを持つとエリア内深くに縦パス。そのボールを佐藤大誠が落とし、最後は高校総体でも4得点を挙げた本間が決めて先制に成功する。

「1点目が入ってから自分たちがやろうとしていることができてきた」(昌平・山下勇希)というチームは、後半24分に山下が加点。さらにその5分後には松本が決めてリードを3点に広げる。後半36分に迎えたPKはゴールキーパーのセーブに遭い、追加点とはならなかったものの、その後も攻撃の手を緩めなかった昌平が3-0で埼玉栄を下し、準々決勝に駒を進めた。

この試合では針谷にマークがつく中、高校総体で信頼を勝ち取ったという2年の山下が試合をコントロールするなど、どこからでもゲームを作れるのが昌平の強み。針谷自身も得点シーンや守備の部分でチームに貢献した。また、「個人の結果にもこだわっていきたい」と話す松本も、初戦の固さがあった中でも試合を決める3点目を奪い、結果を残してみせた。

高校総体・市立船橋戦での敗戦から「みんなの練習に対する意識が増した」と松本はいう。「パスの一個一個の精度についても練習から意識してやってきた。みんな自信をつけられたと思う。かなり変われたという自信はあります」。針谷も「前線の崩しの部分で一回りもふた回りも成長できたかなと思う」と、チームの成長に自信をのぞかせる。

すべては再び全国の舞台に立ち、日本一という目標に向かっていくために。昌平は11月5日(土)に浦和駒場スタジアムで行われる準々決勝(11:35kick off)で、今季県S1リーグ首位の武南高校と激突する。

(取材・文)石黒登

試合結果

昌平 3-0 埼玉栄

0(前半)0
3(後半)0